「電子音響音楽」として、「ひびき(=音響オブジェ)」のコミュニケーション理論の歴史的出発点としてのピエール・シェフェールと同時代作品、インタラクティヴ・メディア音楽のシステムと作品、および、ネットワーク音楽での時空間美学という視点で研究を行った。 2015年度には、ピエール・シェフェールの著書「音楽オブジェ論」を基本文献として関連の先行研究を調査し、研究成果を国際電子音響音楽研究ネットーク、同アジアネットワークの年次大会、日仏音楽交流シンポジウム、サラマンカ音楽祭等で発表した。 2016年度には、4月~6月の3ケ月間、パリ・ソルボンヌ大学の客員研究員としてパリに滞在して、フランス国立図書館の古書・資料調査を行い、同大学で日本とフランスの電子音響音楽に関する関係史に関する研究発表を行った。同期間中、フランスの音楽学研究組織IreMusのシンポジウムに3回出席したほか、芸術工学会ヘルシンキ大会参加、ナント歌劇場新作オペラ(フランスワ・パリ)、ケルンの西ドイツ放送資料館、サンドニ音楽祭、シュトックハウゼン「ルシファーの別れ」上演、IRCAMマニフェスト音楽祭、サンメリー教会フランソワ・ベイル作品展、パリ日本文化会館インスタレーション等を視察して関連研究を行い、ヴェネチアとトレヴィソにおいて作品「明澄な水」「水都孤遊」を発表した。研究成果を国際美学会、日本音楽学会、台北芸術中心、先端芸術音楽創作学会、日本電子音楽協会で発表した。 2017年度には再びフランス国立図書館でピエール・シェフェール関連の一次資料と視聴覚資料を調査し、ミュジック・コンクレートを発明する前のシェフェールの活動について研究を行い、研究成果を日本音楽学会、国際コンピュータ音楽学会、芸術批評誌REARにおいて発表した。
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