音楽における「ひびき」は20世紀後半以降、さまざまな作曲書法によって新しい局面を開いてきた。1940-50年代に現れたミュジック・コンクレートや電子音響音楽や、セリー書法をより広く音のパラメータに応用したトータルセリーと電子音楽では、和音や楽器法といった、「ひびき」を決定する諸様相から一歩踏み込み、電子技術や音響機器の技術を利用しながら、より細かい制御で電子的に音声を生む一方で、楽器倍音をデフォルメしたスペクトルやその変化のプロセスを楽譜上に書き起こすような作曲法も出現した。本研究では、先達の作品や研究論文を調査するとともに、作曲・作品講評を実践して今日的音色を探求した。
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