前年度に実施したカントル生誕100周年記念「死の劇場-カントルへのオマージュ」展に関するシンポジウムや講演の記録をまとめ、本研究の中間報告として出版した。出品作家であったパヴェウ・アルトハメルやアルトゥル・ジミェフスキ、オル太らの活動について、引き続き調査を行うのと同時に、ワルシャワやクラクフにおけるカントルの活動について、フォクサル画廊を中心として活動していた作家たちとの関係にも注目しながら調査を進めた。またウッチを拠点としたスツシェミンスキ、コブロら構成主義者との関わりも視野に入れ、ウッチ国立美術館館長のヤロスワフ・スーハン氏、クラクフ現代美術館館長のマリア・アンナ・ポトツカ氏、ワルシャワ大学のマリア・ポプシェンツカ教授にも協力を依頼し、関連資料を入手した。現在のポーランドにおける美術・演劇傾向についても並行して調査を行って、若手作家たちの動向を探り、カントルを今日的に受け継ぐ可能性として、ポーランド演劇ではシアター・アマレヤなどにも注目しつつ影響関係を考察した。6月には日本スラヴ学研究会シンポジウム「中欧美術の現在」司会及び報告を行い、7月にはソウル大学にて開催された第20回国際美学会に参加して、発表とパネル参加を行い。また参加者と意見交換を行った。国内では11月に龍野アートプロジェクト2016「時空の共振」を行い、美術と音楽とが交錯する展示空間を元醤油工場や武家屋敷において実現し、ポーランドからも作家を招聘してトークを実施、報告書を出版した。また東京外国語大学とも連携しつつ資料の閲覧と収集を行った。
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