古代日本の儀礼中の音楽・芸能について、正史や儀式書の記述をもとに儀礼自体の持つ意義との関連性を考察した。例えば内教坊と呼ばれる女性のみの奏楽機関が演奏する内宴と菊花宴は、成立当時嵯峨天皇が推進していた唐風政策と、女性が政治の場から排除される動向に通じ、古代中国の百戯を淵源とする相撲儀礼は、国威を示す大芸能大会から奉献的儀礼へと変遷した結果近衛府官人が芸能も司ったと判断できる。 一方、これらの研究の思想的な背景となるミュージッキングに関し、提唱者スモールがその概念を確立したカタルーニャで調査を行った。旧蔵書閲覧の他、現地のアマチュア演劇での音楽活動、学会などでの講演活動についての情報を収集できた。
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