本研究は、建築史・美術史・デザイン史家ニコラウス・ペヴスナーの社会改良を目的とした執筆、社会活動に焦点を当て、これまで注目されてこなかった社会改良家としての芸術史家の実像に迫ろうとするものであった。同時代の一般市民の芸術的素養の育成と産業デザインの質的向上を具体的な目標に定め、芸術・デザイン関連の雑誌の編集、一般読者向け記事の執筆、ラジオ講演等を通して、広くデザインに関する国民的関心を啓発し、一般市民の日常生活の向上と美的素養の育成に芸術文化史的側面から貢献しようとしたペヴスナーの多彩な活動は、彼の社会改良への情熱を常に重要な原動力としていた。
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