研究課題
基盤研究(C)
美術史の研究対象としてこれまで注目されることのなかった近世の地方仏について、その実態と特徴を詳しく調査した。全国各地に多数の作例があるものの、その価値について過小評価されている現状を明らかにし、また地方ごとの相違と共通性をともに把握するに至った。その結果、民俗学や民藝愛好家のみに関心を持たれてきたこの分野について、日本彫刻史の展開の中に位置づけることを得た。
美術史
これまで美術史はもちろん地域の郷土史や宗教史においても無視されていて、わずかに民俗学や民藝の愛好家から個別に関心を持たれてきた近世の地方仏の実態を把握し、その臓器的な価値を初めて明らかにした。これによって近世の全国各地に展開した仏師以外による宗教彫刻の評価を進め、さらには日本における信仰と造形の本質的な性格も確かめることを得た。