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2018 年度 実績報告書

マネの絵画と検閲 ー政治、社会、美術制度ー

研究課題

研究課題/領域番号 15K02133
研究機関東京大学

研究代表者

三浦 篤  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10212226)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワードエドゥアール・マネ / 美術と検閲 / 絵画と政治 / ヌードと娼婦
研究実績の概要

平成30年度はアメリカに海外調査に行き、ボストン美術館でマネの《皇帝マク シミリアンの処刑》の第1ヴァージョンを、メトロポリタン美術館(ニューヨーク)で《死せるキリストと二人の天使》《エスパダの衣装を着たヴィクトリーヌ嬢》を調査し、資料収集を行った。帰国後、平成27、28、29年度の調査研究の成果も合わせて、マネの絵画と検閲という問題を政治、社会、美術制度という観点から総合的に考察した。
その結果、マネが第二帝政に批判的な立場から政治的な主題を取り上げ、やや曖昧な暗示的なやり方で表現していること(特に《皇帝マクシミリアンの処刑》《テュイルリーの音楽会》)、スキャンダルを起こしつつもヌードや娼婦のテーマに積極的に取り組み、それ以前にはない女性表象を行ったこと(特に《草上の昼食》《オランピア》《フォリー=ベルジェールのバー》)、さらに聖性を帯びるべきキリスト像をレアリストのまなざしで扱って批判されたこと(特に《死せるキリストと二人の天使》《兵士たちに侮辱されるイエス》)などが判明した。
それらの成果は、平成30年に刊行した著書『エドゥアール・マネ、西洋美術史の革命』(KADOKAWA)の中に組み込んで公表した。本書は、日本で初めてのマネに関する本格的なモノグラフで、「過去からマネへ」「マネと「現在」」「マネから未来へ」という三部構成となっている。西洋絵画史を原作や複製を通して学習し、イメージの自由自在な組み合わせによって、独自の冷徹なレアリスム絵画を発表したマネ芸術の意義、さらに後世の画家たちへの多大な影響について論述した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 西洋留学と明治洋画2018

    • 著者名/発表者名
      三浦篤
    • 雑誌名

      國華

      巻: 1467 ページ: 27-44

    • 査読あり
  • [雑誌論文] モネの《草上の昼食》―レアリスムと印象派のはざまで2018

    • 著者名/発表者名
      三浦篤
    • 雑誌名

      『プーシキン美術館展』図録

      巻: 1 ページ: 142-149

  • [学会発表] Collectionneurs japonais de peinture moderne francaise dans la premiere moitie du XXe siecle2018

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Miura
    • 学会等名
      La formation et la diffusion des collections d’art francais dans les espaces globaux, 1870-1950
  • [学会発表] 19世紀フランス絵画史におけるドービニー2018

    • 著者名/発表者名
      三浦篤
    • 学会等名
      ドービニー展記念シンポジウム(山梨県立美術館)
  • [学会発表] クロード・モネの《草上の昼食》-その謎と魅力について2018

    • 著者名/発表者名
      三浦篤
    • 学会等名
      『プーシキン美術館展』記念講演会
  • [学会発表] 西洋の戦争表象とその広がり-19世紀フランス絵画から藤田嗣治の戦争画へ2018

    • 著者名/発表者名
      三浦篤
    • 学会等名
      第44回大原美術館美術講座 シリーズ戦争と美術Ⅱ 東西・古今
  • [図書] エドゥアール・マネ 西洋絵画史の革命2018

    • 著者名/発表者名
      三浦 篤
    • 総ページ数
      324
    • 出版者
      KADOKAWA
    • ISBN
      978-4-04-703581-2

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公開日: 2019-12-27  

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