彫刻表面の効果に対する関心は、19世紀初頭、アントニオ・カノーヴァ作品の制作・受容においては非常に高かったにもかかわらず、その後続世代が引き受けなかったことを、実作と文献に即し確認。その原因として、1)プロト・モダニズムとしてのプリズモの伸張、2)美術館・写真による新しいイメージ流通、3)アカデミーによる技術教育の合理化、4)王政復古期の保守主義(裸体検閲)、5)モニュメントの流行を指摘。この5点はその後も近現代彫刻の条件・制約を構成することになる。それゆえに、近現代における表面への関心は、それらへの抗力を喚起・内包するものとして捉えることができるだろう。
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