東南アジアに伝来したインドの宗教美術のうち最もインド色の濃いシュリーヴィジャヤの造形的特質を明らかにするために、シュリーヴィジャヤの中心地と推定されているスマトラ、マレー半島に現存する神像、仏像、法具等を中心に調査研究を行った。スマトラのジャンビ出土の鋳造像はインドのパーラ朝か、マレー半島のドバラバティ様式に近いことが考えられ、スマトラの北部では南インド系の作品も認められた。インドの南東地域の一部の寺院はジャワのヒンドゥー寺院と類似し、マレー半島の像は南インドのチョーラ朝より影響を受けた可能性がある。いずれの地域も尊像及び法具から密教的要素が確認できたことも本研究の成果の一つである。
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