研究課題/領域番号 |
15K02142
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
京谷 啓徳 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (70322063)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 宮廷美術 / 図像プログラム / 君主 / ストゥディオーロ / ムーサ |
研究実績の概要 |
ルネサンス期フェッラーラにおける美術事情に関する資料を集成したA. Franceschini, Artisti a Ferrara in eta' umanistica e rinascimentale. Testimonianze archivistiche, 2 vols(1995)を道しるべとし、君主のパトロネイジという観点からの示唆に富む歴史家W.グンダーシャイマー、C.ローゼンバーグらのエステ宮廷研究も参照しつつ、エステ宮廷における美術活動について、テクストと図像双方の一次資料の収集と整理をおこなった。ついでベルフィオーレ宮殿のストゥディオーロ(書斎)の装飾板絵連作に関する調査研究として、リオネッロ・デステの時代に、ストゥディオーロのムーサ連作の図像に関してリオネッロに示唆を与えた宮廷学者グアリーノ・ダ・ヴェローナの書簡が示す当初の構想から、ボルソ・デステの時代に同プロジェクトが引き継がれた際に、図像がどのように変化したのか、そしてそれはボルソの意向を含めいかなる力学によるものであったのかを探究した。S.キャンベルやJ.マンカは連作のうちコスメ・トゥーラが担当した作品に関してのみ分析をおこなっているが、同様の作業を各地に所蔵される、その他のムーサたちを描く板絵に関しても実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記研究実績の概要に示したように、当初の研究計画に従い、おおむね順調に研究目的が達成された。エステ宮廷における美術活動において、テクストと図像双方の一次資料の収集と整理が進行した。ベルフィオーレ宮殿のストゥディオーロ連作に関しては、本務校における半年間の講義において取り扱い、考察を深めることができた。ただし論文執筆には及ばず、それは次年度に持ち越さざるを得なかった。資料調査に関しては、アメリカ合衆国や国内の図書館や研究機関等に所蔵されるものを中心におこなった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に記載した、15-16世紀のフェッラーラにおける複雑な建築的構造を有する玉座の描かれた祭壇画の系譜に関する研究、および16世紀のエステ家宮廷画家ドッソ・ドッシと15世紀フェッラーラ派絵画との関係についての研究にかかわる調査等を、海外の図書館 における調査や国内研究機関の調査等により推進する。
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