研究実績の概要 |
本研究3年目の今年度は、昨年度に引き続き、パレルモ市立図書館からデータで持ち帰ったラグーザの未公刊史料をリスト化し、翻刻、プリントアウト、紙ベースでのファイリング作業を進め、本研究に関係する史料の内容を概ね理解することができた。 作業を進める中で、特にラグーザの日本美術・工芸観、故郷パエルモに創設した工芸学校の着想源を見出すことができた。これについては次年度中に論文としてまとめたい。 今年度も引き続き在外調査・研究をおこなうとともに、過去2年間の研究成果を公開する機会を得ることができた。平成29年6月7日から7月末まで、ラグーザの故郷であるイタリア、シチリア州都パレルモのサン・テリーア館での「清原玉とヴィンチェンツォ・ラグーザ 東京パレルモ間の橋 (O'Tama e Vincenzo Ragusa. Un ponte tra Tokyo e Palermo)」展にあわせて開催されたシンポジウム「ヨーロッパにおけるユートピアとしての日本(L'utopia del Giappone in Europa)」において、イタリア語で「教師として、彫刻家として、蒐集家としてのヴィンチェンツォ・ラグーザの日本での経験(L'esperineza giapponese di Vincenzo Ragusa come insegnante, scultore e collezionista)」を口頭発表した。その内容は来年度中に報告書としてイタリアで出版される予定となっている。 また国内において開催された展覧会において本研究に関係する新知見を得ることができた。 昨年度、東京のイタリア文化会館における「イタリア研究者の日」において口頭発表した"Vincenzo Ragusa e l'Arte Giapponese, su fonti inedite"が、その報告書 "Atti della Settimana della lingua italiana nel mondo 2016", Istituto Italiano di Cultura, Tokyo, pp. 15-19に掲載され、2017年10月25日からWeb上で公開されている (http://www.iictokyo.com/ryugaku/settimana/2016_ebook/index.html)。
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