動物学者エドワード=シルヴェスター・モースによる日本陶器の蒐集と研究について考察を行なった結果、①来日以前のモースはフィラデルフィア万博(1876年)で日本の陶器を目にしていたが、特に影響を受けていなかったこと、②1877年の来日後、日本の「よき趣味」に少しずつ共感し、訪問した第1回内国勧業博覧会で日本美術に開眼するが、やきものへの関心が目覚めたのは翌年で、時間差があったこと、③やきもの鑑定の師である蜷川式胤の『観古図説』のリトグラフ図版の迫真性と、その元となった所載品がすでに海外に売却されてしまっていたことが、彼の研究・蒐集欲をかえって強く刺激したこと、という3点が主に明らかとなった。
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