研究課題/領域番号 |
15K02168
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
布山 毅 東京藝術大学, 大学院映像研究科, 教授 (10336654)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アニメーション / 美術教育 / 児童画研究 / 認知過程 / 発達段階 |
研究実績の概要 |
本研究は、児童が制作したコマ撮りアニメーション作品のデータを多数収集して横断的に分析することで、アニメーションにおける「動きの表現」が認知的発達に伴いどのように変化するかを明らかにすることを目的とする。児童画研究の手法を参考に、児童が制作したアニメーション作品と制作過程のデータを収集して比較分析することを通じて、アニメーションにおける動きの表現の認知的発達過程を解明し、アニメーション表現教育の基礎理論を構築することを目指す。 平成27年度は、データ収集のためのツール開発を中心に研究を進めた。研究代表者が開発を進めてきたコマ撮りアニメーション制作支援ソフトウェアをベースとして、データ収集のための追加機能を実装し、実験用バージョンを開発することを目指した。 しかし追加機能の開発に先立ち、両ソフトウェアを最新のOSでも安定して動作する状態にする必要が生じ、そのための基礎開発工程に当初計画以上の時間がかかった。最終的にはWindows10およびMacOSXのEl Capitanでも動作させることが可能になり、小学校における図画工作科の授業実践と、アニメーション映画祭におけるワークショップ会場でのユーザーテストを行い、安定して動作することが確認できた。しかしデータ収集のための追加機能については、設計段階までで、実装はまだ実現できていない。 その他の成果としては、今後のデータ収集への協力者を募ることを目的として、造形・美術教育の専門誌でツール紹介のレポートを発表した他、日本アニメーション学会等において、開発中のツールに関する発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画では、平成27年度中にデータ収集のためのシステムの設計と実装を行う予定であったが、実装までは至らなかった。 主な理由は、データ収集機能の実装に先立ち、ベースとなるソフトウェアを最新のOSでも安定して動作する状態にするための基礎開発工程を優先した為である。更にOSの問題だけでなく、Adobe社が提供するランタイムライブラリであるAdobe AIR上での実装を行っているため、AIRのバージョンアップにも対応する必要があった。これらバージョンアップ対応の問題は、事前にある程度予想されたが、実際には開発を進める中で初めて明らかになった問題もあった。今回はOSの仕様変更に伴い、ソフトウェアのデータ構造から見直す必要が生じ、当初計画時点での想定以上の開発工数が必要になった。
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今後の研究の推進方策 |
ソフトウェアの基礎開発工程は概ね終えたので、平成28年度中にはデータ収集機能の実装を行う。まずは研究代表者が開発したコマ撮りアニメーション制作支援ソフト『KOMA KOMA』をベースとした追加機能として実装する。 収集するデータとしては、作品データの他、ボタン操作ログや作業時間等の作品制作プロセスの情報と、制作者の年齢や性別等の制作者情報を予定している。同機能の完成後にスムースにデータ収集作業に移行できるよう、データ収集に際しての作品データ使用同意書等も作成する。 データ収集機能の実装と並行して、収集したデータを分析するためのワークフローの構築にも着手する。最終的に多数の作品データを扱う必要が生じることから、それらを出来るだけ効率的に扱う分析方法を考案する必要がある。手作業での処理だけでは不十分な場合は、バッチ処理による分析支援ツールの開発も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集のためのプログラム開発の遅れに伴い、平成27年度に執行を計画していた追加機能の開発費用を執行できず、翌年度に繰り越すことにした為。
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次年度使用額の使用計画 |
当初、平成27年度に予定していたデータ収集機能の開発費用に充てる。
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