研究課題/領域番号 |
15K02168
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
布山 毅 東京藝術大学, 大学院映像研究科, 教授 (10336654)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アニメーション / 美術教育 / 児童画研究 / 認知過程 / 発達段階 |
研究実績の概要 |
本研究は、児童が制作したコマ撮りアニメーション作品のデータを多数収集して横断的に分析することで、アニメーションにおける「動きの表現」が認知的発達に伴いどのように変化するかを明らかにすることを目的とする。先行研究における児童画研究の手法を参考に、児童が制作したアニメーション作品と、その制作過程のデータを収集して横断的に分析することを通じて、アニメーションにおける動きの表現の認知的発達過程を解明し、アニメーション表現教育の基礎理論を構築することを目指す。 平成29年度は、昨年度までに完成させたデータ収集用のツールである「カテゴライザー(メタデータの入力機能)」と「ソーター(メタデータによる作品データのソート機能)」を用いてテスト的にデータ収集を開始すると共に、作品データに付与するメタデータのカテゴリーとして暫定的に設定していた20項目について、見直しと追加を行った。 またそれと並行して行ってきた先行研究の文献調査の一環として、初等・中等教育の図画工作・美術においてどの学年に対しどのようなアニメーション題材が指導されてきたかを、教科書と教師用指導書、実践報告論文等の分析によって明らかにすることを試みた。教科書分析については、近年のものだけでなく1955年以降の教科書を網羅的に調査し、図工・美術教育におけるアニメーション題材の位置づけとその歴史的経緯を明らかにし、その成果を日本アニメーション学会の研究会で発表し、論文投稿を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画では、平成29年度を最終年度として研究を完了する予定であったが、研究初年度にベースとなるツールを最新OSに対応させるための想定外の開発を行う必要が生じたことから全体的に開発が遅れており、研究期間の延長が必要となった。平成28年度にデータ収集用ツール開発を完了し、平成29年度からデータ収集を始めている。また当初計画にはなかったが、先行研究調査の一環として日本の初等中等教育の図工・美術教科書を対象とした網羅的調査を行い、小学生から高校生までのどの学年に対してどのようなアニメーション題材が扱われてきたかを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
データ収集と分析を継続して行い、仮説的理論モデルの構築を目指す。最終的にその成果は日本アニメーション学会等の論文誌へ投稿を行う。また国際的なアニメーション教育研究拠点として知られるデンマークのThe Animation WorkshopのAnimated Learning LabやブラジルのAnima Escola等の研究者らと交流をはじめており、今後は本研究の成果を彼らとも共有し、国際的なアニメーション教育研究ネットワークの構築を目指したい。また先行研究調査としてはじめた教科書分析については、中等教育の美術教科書の分析結果が未発表であることから、その内容についても論文発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:研究進行の遅れにともない、研究期間を延長することになった為。 使用計画:主に研究データ分析のための人件費ならびに学会発表にともなう旅費に宛てる。
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