研究課題/領域番号 |
15K02173
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡本 淳子 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 講師 (40635132)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 舞台芸術論 / 現代演劇 / データベース / スペイン |
研究実績の概要 |
今後の研究に先立ち、スペインおよび日本で出版された検閲関係の書籍で入手できるものに関してはかなり購入することができた。また、扱う二人の劇作家のうち、まだ書籍を揃えていなかったアルフォンソ・サストレの作品はほぼすべて購入した。アルフォンソ・サストレの作品に関しては、5作品を熟読した。 平成27年8月にインドのハイデラバードで開催された国際演劇学会(International Federation of Theatre Research)では、本研究で扱う2名の劇作家の影響を大きく受けた女性劇作家パロマ・ペドレロの作品を分析し、口頭発表を行った。フランコ時代の女性のジェンダーロールおよび家父長制社会を風刺する本作品の分析に対しては聴衆の反響が大きく、様々な意見交換ができた。 本研究において重要な作品であるアントニオ・ブエロ・バリェホの『サン・オビーディオの演奏会』、『バルミー医師の二つの物語』、『明り取り』を日本語に翻訳した後、研究協力者であるスペイン人研究者に校閲してもらった。 フランコ時代の検閲についてまとめた研究書『フランコの演劇検閲に関する関係文書』に掲載されているアントニオ・ブエロ・バリェホ作品の検閲報告書を熟読し、1949年に申請がなされた『砂上の言葉』から1960年に承認された『ラス・メニーナス』までの報告書を翻訳して、大阪大学外国語学部スペイン語部会の紀要Estudios Hispanicosに載せた。 平成28年3月、スペインのアルカラ・デ・ヘナーレスにある政府関連記録文書保管所に出向き、オリジナルの検閲報告書を閲覧すると共に、検閲局に提出されたブエロ・バリェホ作品の台本のうち7作品のデジタル・コピーを申請した(現地に出向かなければ申請できない)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フランコ時代の検閲の全容の把握に関しては、ある程度の数の文献を収集することはできたが、内容を整理するには至らなかった。アルフォンソ・サストレの作品は5作品を熟読するも、論文として発表することはできなかった。 アントニオ・ブエロ・バリェホ作品に関しては、重要な三作品の翻訳を終え、スペイン人研究者による校閲も終えたため、正しい作品解釈がすでにできている。 検閲報告書に関しては、ブエロ・バリェホ作品に関する報告書の約半分を翻訳し、紀要に載せることができた。また、検閲局に提出された台本のうち7作品のデジタル・コピー化を申請した。分量が多いためコピーが送付されるのに数か月を要するが、入手すれば台本研究を日本で進めることができる。
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今後の研究の推進方策 |
検閲報告書の整理に関しては順調に進んでいるので、今後も同じペースで研究を進めていく。フランコ時代の検閲の全容の把握に関しては、資料収集したところで停滞しているので、収集した資料をまとめる作業に力を入れる。また、アルフォンソ・サストレの作品については、今後も熟読を進めていくとともに、考察結果を論文にして発表するべく尽力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度3月にアルカラ・デ・ヘナーレスの政府関連記録文書保管所に出張したが、別の助成金を使用して出張することができたため、旅費に関する支出を当初の予定よりも抑えることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は6月にスエーデンでの国際演劇学会で発表することになっており、平成27年度のインドでの学会参加よりは旅費が高くなる。加えて、3月にも政府関連記録文書保管所に出張する予定である。
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