研究課題/領域番号 |
15K02173
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡本 淳子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (40635132)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | スペイン / 演劇 / 独裁制 / 検閲 / 劇作家 |
研究実績の概要 |
劇作家アルフォンソ・サストレの4作品、『死に向かう分隊(Escuadra hacia la muerte)』(1951-52年執筆)、『みんなのパン(El pan de todos)』(1952-53年執筆)、『猿ぐつわ(La mordaza)』(1953-54年執筆)、そして『下町の殺人(Muerte en el barrio)』 (1955年執筆)に関する検閲報告書及びその他の検閲関連書類を分析したものを日本イスパニヤ学会の学会誌HISPANICA第61号に投稿した。査読の結果、「スペインの劇作家アルフォンソ・サストレと検閲―1950年代前半の作品を中心に―」というタイトルの論文が掲載される運びとなった。 もう一人の劇作家アントニオ・ブエロ・バリェホについては、1969年に上演申請がなされた『理性の眠り(El sueno de la razon)』から、1977年に上演申請された『爆裂(La detonacion)』までの4作品の検閲報告書および関連書類を翻訳したものを、大阪大学外国語学部スペイン語部会の紀要であるEstudios Hispanicos第42号に掲載した。これにより検閲局に上演申請が出されたアントニオ・ブエロ・バリェホの全作品の検閲報告書および検閲関連文書の翻訳が完成した。 2018年3月5日から14日までスペインに出張し、アルカラ・デ・エナーレスにある総合公文書館に出向き、過去2年間にコピー申請できなかった(コピー依頼に枚数制限があるため)アントニオ・ブエロ・バリェホ作品の台本のコピーを申請した。デジタル・コピーの到着には数カ月待たねばならないが、これで検閲局に提出されたブエロ・バリェホの全作品の台本のコピーが揃うことになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フランコ時代の検閲の全容の把握においては若干遅れがあるため、2018年度に集中して研究を進めなければならない。 しかしながら、以下3点の成果があるため、本研究はおおむね順調に進んでいると言える。 1.アルフォンソ・サストレの1950年代前半の作品について、検閲報告書および関連文書から見えてくることと作品分析を総合して、論文「スペインの劇作家アルフォンソ・サストレと検閲―1950年代前半の作品を中心に―」を仕上げることができた。 2.アントニオ・ブエロ・バリェホ作品に関しては、検閲局に上演申請がなされた全作品の検閲報告書と関連文書を翻訳し終えた。 3.スペイン、アルカラ・デ・エナーレスの総合公文書館にある検閲書類のコピーは依頼枚数に上限があるため、一度に揃えることはできないのだが、2018年3月の依頼をもって、アントニオ・ブエロ・バリェホの全作品の台本のコピー依頼が終了した。
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今後の研究の推進方策 |
1.フランコ時代の検閲の全容の把握のため、資料を読み進める。 2.アルフォンソ・サストレの1950年後半以降の作品および検閲書類を分析する。 3.アントニオ・ブエロ・バリェホ作品に関する検閲報告書および関連文書を分析する。 以上、1-3に関しては論文を執筆する予定である。 4.スペイン、アルカラ・デ・エナーレスの総合公文書館に行き、アルフォンソ・サストレ作品の台本のなかで、検閲官の記入箇所がある台本のコピーを依頼する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年7月の国際演劇研究連盟(International Federation for Theatre Research)の学会はブラジルのサン・パウロでの開催であった。学期中であるため1週間以上の休講は望ましくなく、サン・パウロまで1週間以内で出張することはスケジュール的に厳しいため、参加を断念した。その出張旅費が未使用となったため、次年度使用額が生じた。 2018年度は7月にセルビアのベオグラードで開催される同学会での発表がすでに決まったいる。また、2019年3月には総合公文書館に行くためのスペイン出張を予定しており、二度の海外出張費が必要となる。
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