2016年から2018年までの3年間でアントニオ・ブエロ・バリェホ作品に関するすべての検閲書類を日本語に翻訳し、「(資料翻訳)アントニオ・ブエロ・バリェホの検閲関係書類」(1~3)という題で大阪大学外国語学部スペイン語部会の紀要Estudios Hispanicos 40号、41号、42号で発表した。ブエロ・バリェホ作品に対する検閲官の反応を知る上で非常に重要な資料となるはずだ。 2018年7月にはセルビアのベオグラード大学で開催された国際演劇学会(International Federation for Theatre Research)で、"Migrating Audience as Strategies to Clear Censorship in Franco's Spain - In the Case of Buero Vallejo and Sastre"という題で研究発表をし、他の研究者たちと意見交換を行った。 これまでの研究の成果として、二人のスペイン人劇作家アントニオ・ブエロ・バリェホとアルフォンソ・サストレの上演に対する検閲についての論文を発表した。一本は、「スペインの劇作家アルフォンソ・サストレと検閲―1950年代前半の作品を中心に」(『イスパニカ』61号、2018年、185-208)であり、もう一本は「演劇上演に対するフランコ体制下の検閲―アントニオ・ブエロ・バリェホ作品の検閲報告書から読み解く―」(『言語文化研究』45号、2019年、37-58)である。 これらは検閲報告書、書簡、台本への削除および修正命令等を分析対象としたものであり、フランコ時代の検閲に関する数少ない日本語による論文として評価されるであろう。 検閲局に提出された台本はデジタル・コピーを入手済みであり(2019年3月出張の際に申請したコピーは未着)、今後の分析にも役立てる予定だ。
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