研究課題/領域番号 |
15K02176
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
中村 るい 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (50535276)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | パルテノン彫刻 / 空間表現 / 宗教芸術 / 浮彫 |
研究実績の概要 |
今年度の主な研究実績としては、パルテノン・フリーズの神々の立体模型及び想定俯瞰図を、ケンブリッジ大学の古典考古学博物館にて、平成28年5月半ばまで、引き続き展示を行ったことが挙げられる。この展示を通して、英国のギリシャ美術研究者から、立体模型を利用した研究方法について高い評価を受けた。 現地の新聞「ケンブリッジ・ニュース」(Cambridge News)(2016年4月13日付)で取り上げられ、研究者および地元の住民へ日本のギリシャ美術研究について広報を行うことができた。 また、古代ギリシャの空間表現について、パルテノン時代の前後の状況を考察するため、青銅器時代からクラシック後期にかけての絵画及び彫刻作例の線描画を作成し、クラシック期の空間認識と比較考察を行った。 さらに、平成28年10月に、群馬県立女子大学の企画展示「石膏像展」に神々の立体模型を展示し、同大学の美学美術史学科の研究者と、古代ギリシャの彫刻表現およびその後の西洋文化における石膏像の受容、また近代日本の美術教育における石膏デッサンの意義について議論を行い、古代ギリシャの彫刻表現と近現代美術との関わりを検討した。この点が、平成29年度に高知大学で開催予定のギリシャ彫刻のシンポジウムの構成を考えるうえで非常に有意義であった。 シンポジウムの講演者を検討し、美術解剖学研究者、ギリシャ美術史研究者、ギリシャ文学研究者、彫刻家へ講演を依頼し、学際的なシンポジウム開催への準備を着実に進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、英国ケンブリッジ大学の古典考古学博物館において、平成28年5月半ばまで研究展示を継続し、英国の美術研究者から高い評価を受けることができた。浮彫(2.5次元)を、立体(3次元)へ転換する作業が、2次元と3次元を自在に行き来する伝統的な日本美術の特質と関連すると認められ、この研究を日本で行う意義を再認識できた点も平成28年度の重要な収穫であった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、パルテノン・東フリーズの最重要部分「衣装奉納の儀礼」場面の空間配置の考察に着手する。この部分の立体復元模型の制作を継続し、制作者の視点を重視した研究を実施する。 また、高知大学でシンポジウム「ギリシャ彫刻を考える」を開催し、口頭発表と立体模型及び研究資料の展示を行い、研究・制作・教育を融合した研究成果を発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
パルテノン・フリーズの神々の立体模型(「衣装奉納の儀礼」)の制作費として計上したもので、次年度も継続して制作を行うことになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
該当部分の立体模型の制作と研究を継続して行い、模型が完成次第、制作費として計上の予定である。
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