本研究の当初の目的は、1910年代ー30年代のヨーロッパ舞台芸術文化について、共同体あるいは協働という視点から演劇史的な読み直しを行うこととした。それは、現代の演劇に、ユニット性、プロデュース性、コラボレーションなどの「ゆるやかな集団」による製作形態が増加し、特定の思想、理念で結びつけられた従来の劇団性との違いが顕著になっていることに鑑みて、その萌芽の時期として舞台芸術の近代化の問題を再検討するであった。演出家マックス・ラインハルトの欧州各地に展開された共同製作の中から、これまで注目されてこなかったオペレッタの試みを調査することで、新たな見地を得ることができた。
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