研究課題/領域番号 |
15K02191
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
佐々木 果 明星大学, デザイン学部, 教授 (90441360)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マンガ |
研究実績の概要 |
第一に、前年度の研究成果を踏まえて、研究の論点と対象作品の検討を行なった。まず論点については、認知言語学からのアプローチを明確にするために「言語としてのマンガ」「マンガにおける言語」という2つのとらえ方を導入した。特に前者については、絵や効果線などがレトリックとして機能する実態に注目し、言語表現をいかにマンガの絵で表現しうるかを重要な論点として採用した。対象作品については、世界初の本格ストーリーマンガとされる19世紀前半のロドルフ・テプフェールの作品、明治30年代の「明治ポンチ本」と呼ばれる一群の出版物、およびストーリーマンガが世界的に本格普及する1920~30年代の日本の新聞連載マンガ(翻訳作品を含む)を重点的に取り上げ、分析を進めた。 第二に、マンガ史の再検討と、資料の追調査を進めた。上記の論点を検討した結果、19世紀におけるテプフェールの影響や、日本におけるコマ割りマンガの普及、連載作品の増加と単行本化の実態などを追調査する必要が生じ、内外のアーカイブ所蔵の史料を中心に調査を進めた。2017年2月27日にはテプフェール作品の検討のためのワークショップを、連携研究者の夏目房之介(学習院大学大学院教授)氏と主催し、絵と言語の関係性の検討を行なった。これらの成果を中間報告としてまとめる作業を進めており、当初計画していた平成28年度中の発表には至らなかったが、平成29年度中に発表できるよう準備をしている。 第三には、得られた知見をマンガ創作者の教育に応用するために、大学生を対象としたワークショップを実施し、言語表現を絵と効果線等で表現する実例データの収集と分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
連携研究者などと協力しながら、だいたいの計画内容は円滑に進めることができた。ただし、ワークショップの実施が年度末に近かったため、成果の中間まとめ作業が遅れており、平成29年度夏以降にずれ込む見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
まず、前年までの成果の中間まとめを行なう。その後、①デジタルによるメディアの変化の実態調査と研究、②今後のマンガ教育に活用する方法のまとめ、の2つの作業を進める。最終的には、すべての研究成果をマンガ創作教育の場で活用するための教授法を構想し、それを実践するためのワークショップを開催する。その結果を検証し、意義や今後の課題を検討し、論文としてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画に必要な出費を行なったが、見込みより安価に執行することができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
デジタルメディア上のマンガ創作の検証に必要な物品費にあてる予定である。
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