研究課題/領域番号 |
15K02194
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
児玉 竜一 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10277783)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 歌舞伎 / メディア / 演劇雑誌 |
研究実績の概要 |
本年度は、演劇雑誌と映像資料の整理を並行して重点的に進めた。 映像資料に関しては、ニューヨークのリンカーンセンター公共図書館に所蔵される、七代目松本幸四郎の映像を紹介しえたことが最大の成果である。同図書館が1925年撮影とする考証の誤りをただし、1926年10月31日という撮影日を特定するにあたっては、演劇雑誌の研究成果が最も有効であった。雑誌『帝劇』『芝居とキネマ』等に記載の記事が決め手となり、むしろ新聞には報道されない情報が、調査にあたって有効であることを再確認した。当該の映像は、日本演劇方面では未確認であったもので、現代舞踊方面では存在を知っていた向きもあるようだったが、成文化された報告は存在していない。ある際立って重要な映像資料に関する認知度を、一般に推測する方法が存在していないことも図らずも明らかとなり、このあたりからも、映像資料の整理統一と、周知が急務であることが再確認された。 放送映像については、『放送文化財目録』のほかに、『伝統芸能放送85年史』からのデータ化がきわめて有効であることが明らかとなったので、これを並行して進めている。 演劇雑誌については、雑誌『道頓堀』『演藝写真』等の所蔵調査を行い、並行して数種のデジタル化および総目次化を進めた。 音声記録については、蝋管の所蔵者および日本語学の面からの音声資料研究者とともに、「蝋管による音声・芸能記録とその再現」と題して、義太夫節の演奏としては現存最古の音声記録と思われる資料紹介を果たし得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
映像資料に関する懸案を解消して、次年度以降は演劇雑誌に重点を置いて作業を進めることができる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画を変更する事由は、存在していない。 当初の目的と方法通りに、研究を遂行できる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
微少な金額が残ったため、次年度と合算した方が有益であると判断した。
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次年度使用額の使用計画 |
文具等の消耗品費に使用する予定。
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