研究課題/領域番号 |
15K02203
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
松谷 容作 同志社女子大学, 学芸学部, 助教 (60628478)
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研究分担者 |
水野 勝仁 甲南女子大学, 文学部, 講師 (30626495)
秋吉 康晴 京都精華大学, ポピュラーカルチャー学部, 講師 (10751802)
増田 展大 立命館大学, 先端総合学術研究科, 非常勤講師 (70726364)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ポストインターネット / 計算 |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究は具体的に以下の5つの項目からなされた。 ⅰ. 現在のアートにかかわる国内外の施設や人への調査した。具体的には、InterCommunication Center(東京都新宿区)や山口情報芸術センター(山口県山口市)、国立現代美術館(大韓民国ソウル市)などにて文献・映像音響資料の収集、アート実践の視察を行った。また、アート研究者(林田新氏など)やアート制作者(山城知佳子氏、渡邉朋也氏、伊東宣明氏など)、キュレーター(Pill Joo Jung氏など)へのインタビューなどを実施した。つぎにⅱ. 文献・映像音響資料の整理と精査(Samuel Bianchini and Erik Verhagen, Practicable: From Participation to Interaction in Contemporary Artなどの精読を行った。上記ⅰで収集した資料の精査を行い、ポストインターネットおよびポストインターネットアートの基礎的な理論整備や緒言説の整理を行った。またⅲ. レビューを受けた。美学者である秋庭史典氏と渡邉朋也氏からレビューを受けた。そしてⅳ. フォーラムを開催した。そこでは、研究グループで上記ⅰからⅲの報告と、グループ以外の参加者と意見交換を行った。また本年度の最終回の会に秋庭史典氏と渡邉朋也氏を招聘し、意見交換を行った。さいごにⅴ. 成果発表を行った。ⅰ~ⅳの成果として研究グループ各人による口頭発表や論文発表、さらにはMEDIA SHOP | gallery(京都府京都市)にて山城知佳子氏の展覧会「山城知佳子作品展」と、ARTZONE(京都府京都市)にて渡邉朋也氏の展覧会「信頼と実績」を共催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の進捗状況にかんしては、おおむね順調に進展しているといっていい。研究課題にかんする基礎研究については、ポストインターネットやポストインターネットアートにかんする言説上の整理(歴史的整備、動画や静止画、サウンドそれぞれの理論的整備など)を昨年度からさらにおしすすめ、ほぼ完了した。またそうした整備のなかで、計算やアルゴリズムとアートの関係性、さらにそれらとポストインターネットやポストインターネットアートとの連関性を確認することもできた。また事例研究にかんしても、国内外のポストインターネットの主要な作品については調査が一定のレベルで行われた。また作品の作者との意見交換も、本研究グループの各人が積極的に行い、一定の成果が上がってきている。 ただし、本研究の現在の成果にかんするレビューアーや、国内外の研究者を研究グループのフォーラムに招聘し意見交換を行うことにかんしては、当初予定していた対象者がスケジュールなどの理由で変更を余儀なくされた。だが変更はあったものの、美学者秋庭史典氏や渡邉朋也氏から、貴重な助言とレビューを受けることができた。また、海外のポストインターネットにおけるアートとその作者についてより考察を深めるために、世界的な活動を展開している韓国人キュレーター、芸術社会学者のPill Joo Jung氏と関係を密にし、積極的な意見交換をはかった。なお、前年度同様に、フォーラムの開催場所として、研究グループの利便性とより多くの参加者を募るため、それに相応しい大阪市内を選択した。さらに研究計画には具体的には記載していなが、より多くの人びとに成果を共有し、意見交換ができるように、本年度の成果発表として、ARTZONEで開催された展覧会および研究グループの研究成果のレビューをまとめた小冊子を作成した(現在印刷中)。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策にかんしては、研究計画に記したとおり、これまでの調査の不足部分を補いつつ、3年間の研究の整理とまとめを行う。具体的には、4月から11月にかけて調査・収集した資料の検証・整理、国内外での不足分調査を行い、さらに公開フォーラムを開催し、成果の報告と意見交換を行う。また12月から3月にかけて、これまでの研究をまとめ発表する場として、インターネット・リアリティ研究会などとの共同シンポジウムの開催、およびポストインターネットを主題とした書籍の発表、小冊子の作成などを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該研究成果を広く公開するため、当該年度の研究成果とレビューをまとめた報告書(小冊子)を作成する予定であったが、研究成果の整理が予想以上に時間がかかり、報告書を作成することができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
当該研究成果を広く公開するため、平成28年度の研究成果とレビューをまとめた報告書(小冊子)を作成する。その作成費用に計上する。
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