研究課題/領域番号 |
15K02205
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研究機関 | 京都造形芸術大学 |
研究代表者 |
樋上 千寿 京都造形芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (30608740)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 東欧ユダヤ教 / イディッシュ / クレズマー音楽 / モダニズム |
研究実績の概要 |
7月下旬~8月初旬にかけて、ドイツ・ワイマールで開催されたイディッシュ音楽に関する国際的なワークショップYiddish Summer Weimarに参加し「ポーランドのイディッシュ音楽」に関する最新情報に触れる機会を得た。イディッシュ音楽には「ポルカ」などポーランドの民族舞踊音楽からの影響を受けた楽曲があるが、東欧ユダヤ人の米国への移住を機に伝承がほぼ途絶えてしまった。近年、ポーランドの「ポルカ」と、ユダヤ人がかつて演奏していた「ポルカ」の相違についてフィールドワークが行われ、その研究の重要な部分がシェアされた。この成果は、10月22日に京都市国際交流会館イベントホールにて開催した研究発表会「東欧ユダヤ音楽クレズマー演奏会」と、11月17日に東京両国のシアターXにて開催した研究発表会「東欧ユダヤ音楽クレズマー演奏会」で発表した。 11月18日~20日にドイツより演奏家で音楽学者のアラン・バーン博士と演奏家のマーク・コヴナツキー氏を招聘し、東京両国のギャラリーXにて演奏家を主な対象としたワークショップ「第1回東欧ユダヤ音楽ワークショップ」を開催した。約20名が参加し、イディッシュ音楽の成り立ちについて基本的な知識を共有したほか、ダンス・ジャンル毎に特徴的な楽曲とダンス・ステップを習得した。また最終日に一般公開のセッションを開催し成果の一端を披露した。2月にこのワークショップの参加者を対象に東欧ユダヤ音楽研究会を開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
7~8月に計画通りドイツ・ワイマールで開催されたイディッシュ音楽のワークショップYiddish Summer Weimarに参加し、イディッシュ音楽の伝統に関してさらに理解を深めることができた。10月と11月にはそれぞれ京都と東京でこのワークショップで得られた情報を交えて研究成果発表会(レクチャー・コンサート)を計画通りに開催した。また日本で最初の本格的なイディッシュ音楽に関するワークショップ「第1回東欧ユダヤ音楽ワークショップ」を開催し、参加者からは予想以上の評価を得た。この音楽文化を支えてきた精神性や歴史的経緯などについて、第一人者の指導を得られたことは、有意義であった。これらの活動により従来個別に活動していたユダヤ音楽の演奏家が一堂に会する機会が得られ、また共有すべき情報を世界的な演奏家の指導によってシェアできた意義は大変大きい。研究例会「イディッシュ音楽研究会」を2月に開催し、知識の補強と演奏方法に関する情報共有を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の成果を踏まえ、さらに発展的な成果共有を目指すため、共同研究会「東欧ユダヤ音楽研究会」を継続開催する。イディッシュ語圏の芸術文化に関する文献の収集と読み込みを進め、随時共同研究会で有益情報の共有を行う。当該年度もテーマを発展させて開催されるYiddish Summer Weimar(ドイツ、ワイマール、7月中旬~約2週間)に参加し、イディッシュ文化に関する最新の研究成果の収集と情報交換を行う。また研究会と海外調査の成果を発表するため、レクチャー・コンサートを10月末に東京・両国シアターXで、11月下旬に京都市国際交流会館イベントホールで開催する。国内の演奏家と舞踏家を対象とした東欧ユダヤ音楽のワークショップを10月25~28日の4日間、東京・両国のギャラリーXにて開催する。そのため、昨年度に引き続きアラン・バーン博士と演奏家のマーク・コヴナツキー氏をドイツより招聘する。当初計画では関西(大阪)で開催予定であったが、昨年度の参加者の希望により、当該年度も東京にて継続開催することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた、物品費による欧文文献の購入が少なかったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
当初予定額と大きな隔たりは生じないので、上述の通り、ほぼ予定通りの研究計画を進める。7月に約2週間の海外調査の旅費に充てる。京都と東京で開催するレクチャー・コンサートと、ワークショップ開催のための会場費および国内旅費、研究協力者・講演者招聘費、人件費・謝金に充てる。関連する資料購入費に充てる。
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