海外調査では、近年発見された1910年前後のウクライナ・ヴィルナで録音された音源アーカイヴの分析から、従来空白状態だったモダニズム期のイディッシュ文化圏でのイディッシュ音楽の実態がより明瞭となった。またポーランド起源のポルカとユダヤ人楽師によるポルカの比較から、「ホスト文化のユダヤ化」の一つのモデルが浮かび上がった。さらにイスラエルで共有されている「クレズマー音楽」のレパートリーが離散地でのそれと大きな相違があること、スタイルにも若干の相違があることが分かった。各年度に開催した音楽家のためのワークショップでは、ダンスとダンス音楽の関連性について実演を通じて理解を共有できた。
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