研究実績の概要 |
最終年度に当たる今年度は、予定通りに過去に行われた調査結果を整理し、まとめる作業を行った。前年度の報告で得た新たな視点なども入れて、作品分析をさらに精緻化するよう務めた。その過程で新たに問題となる部分は、並行して国外の機関で追加調査を行った。8月にキューバの国立映画資料館に行き、キューバ生まれの日系二世の研究員など複数の館員と交流・意見交換し、日系人コミュニティにおける映画鑑賞の事情について、多くのことを教えていただいた。また、映画資料館とキューバ国家図書館で行う調査によって、戦後1950年代から今日までキューバで上映されたすべての日本映画と中国映画のリストを確実にさせることができた。調査結果を丹念に推敲し、研究成果の取りまとめ、論文執筆の作業を行っている。 個人的調査と並行して、12月に日本映像学会アジア映画研究会で「中国映画の「戦後」--空間と時間をめぐる再考」という題目で口頭発表を行い、同じ関心を持っている研究者と有意義な意見交換を行った。発表内容をまとめた論文は、今年出版される『アジア遊学』に掲載される予定である。また、多くの中国系移民が居住していた香港映画の現状について論文を書き、日本現代中国学会の学会誌『現代中国』(第92号)に掲載された。 日中韓の映画研究者とともに研究を行い、分担執筆した下記の英語著書で、1939年から2018年までの長期間における東アジア各国映画の文化政治学について検討し、研究成果を出した。Cultural Politics around East Asian Cinema: 1939-2018, Edited by Noriko Sudo & Takeshi Tanikawa, Trans Pacific Press,2019.2。
|