民間翻訳の歴史の中でも画期的存在である『支那文学大観』は刊行途中で出版社が経営破綻したため、刊行経緯には不明点も多かった。しかし、論者は昨年、支那文学大観刊行会の企画書『支那文学大観刊行に就いて』と、『支那文学大観会報』(1~9号)を発見、その企画立案の経過や、なぜ本出版計画が頓挫したのかを関連資料から詳細な分析を試みた。 なお『西遊記』については、近現代日本における西遊記受容史を構築するため、宇野浩二、伊藤貴麿、佐藤春夫による訳書の西遊記翻訳史における位置づけを考察した。また、日本において沙悟浄が河童とされるようになった時期とその経緯を調査した。
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