研究課題/領域番号 |
15K02226
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
平野 多恵 成蹊大学, 文学部, 教授 (60412996)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 和歌 / 占い / 歌占 / 託宣 / 夢 / 明恵 |
研究実績の概要 |
本研究の軸の一つである、神仏をめぐる託宣歌や占いの歌にかんしては、記紀神話の時代から明治時代までの神の託宣歌や和歌占い(歌占)の資料を幅広く収集・分析し、とく歌占本の成立と系譜を具体的に明らかにした。この研究成果は2016年5月28日に日仏会館で開催された説話文学会例会のシンポジウム「占いと説話」において「歌占の系譜―託宣から占いへ―」として発表した。この発表を経てさらに分析を深めた成果を「歌占本の系譜―託宣歌から占いへ」『説話文学研究』51号掲載予定)として論文化した。この研究によって、平安時代以来の託宣歌が、室町時代から江戸時代にかけての歌占本に取り込まれていることが判明した。現存する歌占本をできるかぎり調査したことで、歌占本の系統が明らかになり、歌占本の歴史的な位置付けが可能になった。 もう一つの研究テーマである僧侶の文学的営為と和歌とのかかわりについては、鎌倉時代の僧侶・明恵の夢にフォーカスした。明恵の夢における和歌の位置付けを考える前提として、明恵の夢の記録を網羅的に調査し、研究の基盤をつくった。その成果の一部は「明恵「夢記」研究の現在」『仏教文学』第41号や「明恵「夢記」研究の地平」(『夢と表象 眠りとこころの比較文学史』勉誠出版 所収)として公にした他、2016年5月の中世文学会におけるシンポジウム「文学の生まれる〈ところ〉」で「明恵をめぐる夢と奇瑞と信仰の磁場 」として発表した。この発表については、「明恵をめぐる奇瑞と信仰の磁場―白上峰の文殊顕現と春日明神の託宣」として『中世文学』62号に掲載される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主軸である神仏の和歌と僧侶による文学活動の二点について、それぞれ研究成果を公にすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は国際学会で発表を予定しているので、国際的な関心を集められる切り口で研究を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に国際学会での発表を予定しているため、そのための経費として今年度分を次年度使用分として残した。
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次年度使用額の使用計画 |
リスボンで2017年8月に開催されるEuropean Association for Japanese Studies (EAJS)への出張経費の一部として使用する予定である。
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