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2015 年度 実施状況報告書

奥義抄及び新出歌学書の本文研究と、平安末期歌学史の再構築

研究課題

研究課題/領域番号 15K02230
研究機関愛知文教大学

研究代表者

黒田 彰子  愛知文教大学, 人文学部, 教授 (30333181)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード奥義抄 / 伝本研究 / 院政期歌学書 / 和歌童蒙抄 / 口伝和歌釈抄 / 和歌色葉 / 隆源口伝
研究実績の概要

1.奥義抄伝本の調査と一次翻刻データの作成 当該研究における最重要課題である奥義抄伝本の悉皆調査をめざし、伝本として重要なものから順次実地調査を行い、翻刻データを作成した。なおデータは一次翻刻、点検、二次翻刻データ作成の順に行う。27年度一次翻刻完了伝本は、大東急記念文庫蔵本、書陵部蔵御巫文庫本、三手文庫本、島原松平文庫本、版本。翻刻作業継続中は、内閣文庫本、高松宮本、天理図書館本、等である。
2.和歌童蒙抄注解の原稿作成 当該研究における、平安後期歌学史の再構築という目的に徴し、院政期初期における部類式歌学書の集大成ともいえる当該書の注解を行う。注釈作業はすでに10年余継続しており、一読作業は完了している。和歌童蒙抄に関しては、その中核的な依拠資料となる新資料が発見され、平成20年にその全貌が公開された。27年度は、注解原稿の点検作業を行い、一読作業結果に、新資料の発見等、研究の進展に伴う新見を加味しつつ原稿の見直しを行い、現在全体の3割程度が完了している。
3.口伝和歌釈抄の注解作業 27年度は、計画通り百番から百六十番までの一読原稿を作成した。
4.隆源口伝と口伝和歌釈抄の対校本文作成 口伝和歌釈抄研究の進展にともない、綺語抄、隆源口伝等との関係が明確になりつつある。特に隆源口伝との関係は、対校本文作成の可能な段階に至った。27年度は、前田尊経閣文庫本、島原松平文庫本を中心とする伝本により、隆源口伝の校本原稿を作成するところまで作業は進捗している。
5.和歌色葉校本の作成と公刊 甲本である静嘉堂文庫蔵本と、乙本である故上野淳一氏蔵本を中心として、甲乙両系の本文が一覧できるよう、『校本和歌色葉』を作成し、これを公刊した。いずれも翻刻資料としては最も整備されたものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、その第一が奥義抄の悉皆調査と、本文データの作成である。27年度は、一次翻刻をめざし、28年度以降、点検、確認を中心とする二次翻刻を予定している。その計画に沿い、27年度における一次翻刻作業はほぼ順調に進んだ。
研究目的の第二は、院政期歌学の再構築であり、従来明確ではなかった、和歌童蒙抄以前の歌学書、特に、綺語抄、隆源口伝、また、佚名歌学書の逸文等を、奥義抄、袖中抄等の歌学書から透視し、その成立や歌学の質を明らかにすることである。そのための資料的な側面の調査研究はおおむね順調に進めることができた。また、和歌色葉については、研究代表者が影印での公刊に止まった故上野淳一氏蔵本を含め、甲乙両系の本文を対校し、これを資料として公刊した。隆源口伝については、尊経閣文庫本、島原松平文庫本を中心に、本文研究を進めているが、本文研究と注釈作業は不即不離であり、口伝和歌釈抄の注解を中核におき、関係する歌学書の本文研究に資するべく作業を続けている。

今後の研究の推進方策

今後の研究は、当初の目的に沿い、奥義抄の伝本を系統別に、あるいは、校本の形式で公刊することを最大の目標として、伝本研究を中心に進めたい。また、第二の目的である平安末期歌学の再構築については、資料的な側面での成果、すなわち、和歌童蒙抄、口伝和歌釈抄、隆源口伝、さらに別本童蒙抄等の資料を研究者間で共有できるようなデータベースの作成を中心に作業を進めたい。すでに「校本和歌色葉」、「口伝和歌釈抄注釈」(既刊Ⅰ~Ⅲ)の提供により、平安末期歌学史を研究対象とする若手の研究者からの要望もあり、当該時代を中心とするテーマをさらに推進すべく、研究代表者、連携研究者、研究協力者だけではなく、これらの若い研究者による個々の歌学研究を、研究の現在的問題点の在所として、論集のかたちで公刊したいと考えている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 和歌童蒙抄輪読十六2015

    • 著者名/発表者名
      黒田彰子 大秦一浩
    • 雑誌名

      愛知文教大学論叢

      巻: 18 ページ: 23.60

    • オープンアクセス
  • [図書] 校本和歌色葉2016

    • 著者名/発表者名
      黒田彰子
    • 総ページ数
      254頁
    • 出版者
      一粒書房
  • [図書] 頼政集新注 下2016

    • 著者名/発表者名
      頼政集輪読会
    • 総ページ数
      約300頁
    • 出版者
      青簡舎

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公開日: 2017-01-06  

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