昨年度より引き続き、入力済みの目録データの点検作業をおこなった。本年度は、これまで研究協力者として作業を依頼していた研究者の協力を得ることが難しい状況であり、また、複数名での点検作業は齟齬が生じやすく、その調整に時間を浪費することは得策ではないという考えから、吉田唯のみに作業を依頼した。とはいえ、吉田も作業に従事できる時間が限られていたため(9月、10月、1月)、進捗状況は十分とはいえなかった。 一方で、点検作業を進めていると、現物を再確認する必要が生ずることがある。これは、調書記入・写真撮影・データ入力を複数の研究協力者に依頼していたため、その時点で統一基準が不十分であったことや、文献調査に不慣れな協力者に対するフォローが不十分であったことに起因している。そのため、現物確認の必要点数がある程度になったタイミングで宝珠院を訪れる必要がある。1月は研究協力者の植田麦・森誠子の協力を得ることができたため、5~7日に現物確認のための調査をおこなった。 なお、この調査時に、これまで未了であった仏像調査も併せておこなった。宝珠院には文献資料のほか、仏画・仏具・茶器・版木等も所蔵されており、これらの調査もすでに完了している。しかし、特に高度な専門性を要する仏像調査は、これまで専門家の協力を得ることができないまま、かつて大阪市が調査したデータがあるので、ひとまずはこれに頼りつつ全体の調査を進めていた。このたび、仏像研究を専門とする小野佳代(東海学園大学准教授)の協力を得ることができ、また高橋寛(一級建築士)が計測・撮影を補助する形で調査をおこなった。これにより、大阪市の調査では判明しなかった新たな発見等もあり、非常に有意義であった。
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