公益財団法人日本近代文学館(東京・駒場)で4月6日~6月22日まで開催された春期特別展「太宰治 創作の舞台裏」の企画、編集業務を行った。この展覧会は太宰治の文献学的な資料を研究的な観点から読み解く面白さを、一般に広く解説することを目的としたもので、幸いにして多くの参観者があり、所期の目的を達成することができた。その一環として、同館にて5月18日、講演「舞台裏から見る文学」を行っている。なお、この展覧会の内容は春陽堂書店から同名の単行本として刊行され、その編集も行った。 また、その過程で初公開の新資料太宰治「お伽草紙」を調査し、記者会見で解説をすると共に、「日本近代文学館年誌 資料探索」(令和2年3月)に「太宰治『お伽草紙』の本文研究ー新出原稿を中心に」と題する論文において、その詳しい調査報告を行った。 また、8月に弘前に出張し、太宰治に関する研究情報、資料の収集を行った。その際、8月17日に弘前市立観光館において、講演「太宰治と弘前」を行っている。 また、公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団主催の太宰治生誕110年特別展「辻音楽史の美学」(9月21日~10月20)の展示監修をつとめた。この展示において、本科研研究の重要な成果である、「山内祥史」文庫の紹介を行った。内容の一般公開は初めてで、周知に大きな効果を上げたものと考える。これらに関連し、これまでの研究、調査を生かし、10月5日に講演「文学史に刻まれた文豪との日々 佐藤春夫・川端康成・志賀直哉」を行った(於・三鷹ネットワーク大学)。一線の研究を一般読者に周知する上で充分に所期の目的を達成できたものと考える。
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