研究課題/領域番号 |
15K02245
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飯田 祐子 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (80278803)
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研究分担者 |
中谷 いずみ 奈良教育大学, 国語教育講座, 准教授 (10366544)
笹尾 佳代 神戸女学院大学, 文学部, 准教授 (60567551)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 女人芸術 / 女性文学 / 女性知識人 / 1930年前後 / 女性の多数性 / ヘゲモニー闘争 / ジェンダー / 社会運動 |
研究実績の概要 |
本研究は、『女人芸術』(1928-1932)の分析を通して、1930 年前後の女性作家・女性知識人のヘゲモニー闘争の様相を明らかにすることを目的とし、①女性作家・知識人の多様性とアイデンティティの関係、②ジャンル規範との交渉の過程、③ソヴィエト関連情の導入を含む社会運動との関連性について分析を行った。同時に雑誌の動向として、④読者ネットワーク、⑤メディアにおける評価を精査した。 本年度は最終年度として、名古屋大学附属「アジアの中の日本文化研究センター」主催定例国際シンポジウムに本研究の成果を組み込み、「1930年前後の文化生産とジェンダー」と題したシンポジウムを開催した。セッション 1「マルクス主義におけるジェンダー表象」では、中谷いずみ(分担者)が「階級闘争と女性解放の夢」と題して、社会運動の論理におけるジェンダー構造について報告した(③に関連)。セッション 2「交渉する表現主体とジェンダー」では、笹尾佳代(分担者)が「『女人芸術』の新人作家─社会運動と〈文学〉の交渉」と題して、新人作家の文学場の力学との交渉の痕跡を読解した(②に関連)。セッション 3「女性知識人の1930年前後 」では、飯田祐子(代表者)が「「女性」の分裂と集合をめぐる闘争」と題して、1930年前後に発生した女性の多数化と集合化のダイナミズムを確認した(①およびヘゲモニー闘争としての総括)。また、合わせて「『女人芸術』という回路」と題した展示を、開催会場であるジェンダー・リサーチ・ライブラリにて開催し、『女人芸術』の同時代評(⑤)、『女人芸術』と社会運動との関わり(③)、読者のネットワークおよび外地・外部との繋がり(④)、東アジアの女性雑誌との関連性という四つのテーマでポスター報告を行った。 なお、本研究の成果として、シンポジウムの記録を刊行予定である(仮題『闘争と女性』、青弓社)。
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