研究課題/領域番号 |
15K02247
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
吉丸 雄哉 三重大学, 人文学部, 准教授 (10581514)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 滑稽本 / 医学小説 / 年表 |
研究実績の概要 |
研究計画の「医学関連作品年表」作成について、前年度に引き続き、仮名草子・浮世草子・談義本のグループ、戯作本でのグループ、芸能でのグループ、俳諧・川柳でのグループにわけて、順次調査を遂行している。最終年度での公開にむけていよいよの拡充とデータ整理を進めている状態である。代表的医学小説に関しては解題を作成しており、翌年度には医学小説史として紹介する予定である。 今年度は近世医学小説のなかで重要な価値をもつ横谷南海『当世医者風流解』二編(文政四年・五年刊)は前年度より翻刻作業を行っていたが、今年度は初版本を手に入れたためそれにもとづき、前年度の原稿に書誌情報を解題を増補したものを作成した。『三重大学日本語学文学』28号(平成29年6月下旬発行予定)に二編を掲載の予定である。著者の横谷南海の正体は解明できなかったが作中の狂歌を詠んでいる四穂園金英、南陽館草陽、蓑笠坊案山子らとの関係から推測すると、横谷南海は小説の舞台の京都に住み、四穂園金英のその交友圏内にいた人物であろう。また初版本の形態や諸本に関して詳しい考察ができた。
初編・二編あわせて当時の医者の事情が見えてくる江戸時代の医者小説の秀作といえる『当世医者風流解』の紹介ができた。 また『笑談医者質気』に関して調査と翻刻作業を進めている。これは最終年度に内容を確認のうえ『三重大学日本語学文学』28号(平成30年6月下旬発行予定)での公開を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)「医学関連作品年表」作成のための資料調査を前年度に引き続き行っている。データの状態で整っていないので、本年度は調査を継続しつつ公開のためのデータの整形を試みたい。 (2)今年度は『当世医者風流解』二編について善本を手に入れ、書誌と解題を充実させて公開に到ったので幸いだったといえよう。また『笑談医者質気』の翻字も進めてある。 (3)痘瘡にまつわる作品の事例の収集と分析に関しては、分析に関して遅れている。(1)「医学関連作品年表」の素稿が充実すれば、そこから事例を収集して分析の段階に入れると考えている。 (4)谷川士清を中心とした医者作家の研究であるが、本年度は十分な調査ができなかった。 (5)研究成果の発表であるが、最終年度にあたる次年度より行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
予定していた研究は今年度も遅れぎみであるが、鋭意努力することによって、進行の遅れを取り戻すことは十分可能であると思われる。 収集したデータや下翻字してある翻刻をうまく整えて公開に備えたい。
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