研究課題/領域番号 |
15K02249
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
尾崎 千佳 山口大学, 人文学部, 准教授 (50335759)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 西山宗因 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、寛文八年(1668)から寛文十二年(1672)、宗因六十四歳から六十八歳までの「西山宗因年譜考証素稿」を作成した。当初計画では、寛文八年から天和二年(1682)にかかる年譜考証後半の素稿を完成させる予定であったが、疾病のため、計画の三分の一程度しか進捗しなかった。 当初計画では、天理図書館・東京大学史料編纂所・八代市立博物館・徳川美術館等の各研究機関に資料調査を実施し、より詳細な考証を重ねる予定であったが、疾病治療のため、今年度は調査出張をほとんど実施できなかった。 昨年度の調査の一部に基づいた論考「西山宗因の俳業」を、篠原進・中嶋隆編『ことばの魔術師西鶴―矢数俳諧再考』(平成28年11月,ひつじ書房)に発表した。本論文では、従来、西鶴の側から論じられることの多かった宗因の俳諧評語を分析し、宗因にとって西鶴が特別な存在ではなかったことを指摘した。さらに、晩年の宗因の活動を俳諧点業という視点から考察し、俳諧点業に積極的に携わった延宝―天和期の宗因が、俳諧を専業とする俳諧点者たちからは連歌師の領域侵犯と見なされ、批判の対象となったことを論じた。 また、本研究課題と深く関連する業績である『西山宗因全集 第六巻 解題・索引篇』(平成29年4月,八木書店)の編集に携わった。ここに「補訂」として収めた新出の宗因関係資料については、今後、さらなる分析を重ねたうえで、「西山宗因年譜考証」に反映させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年1月に疾病が発覚し、その治療のため、同年8月に手術を受け、8月9月の約2ヶ月間休職した。休職期間の前後も、体力低下により、本研究課題を中心とする研究の推進はほとんど不可能であった。夏期休業期間中に調査出張を実施する予定であったが、入院のため、資料調査はまったく実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は本研究課題の最終年度にあたるものの、昨年度に発覚した疾病のため、計画通りの研究推進は難しい。体力の回復を待って、今年度中には昨年度完了する予定であった西山宗因年譜考証素稿を完成させ、資料調査も適宜実施する計画であるが、体調にかんがみて、研究期間の延長を申請する必要があると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年1月に発覚した疾病治療のため、平成28年度8月に手術を受け、約2ヶ月間休職した。休職の前後も、投薬治療と体力低下により必要最低限の校務にあたるだけの状態が続き、研究はほとんど遂行できなかった。特に、夏期休業期間に実施する予定であった調査出張は、入院のためまったくできなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
現在も経過観察と治療を継続中であるため、体力の回復を待って調査出張を順次実施したいが、健康状態に照らして平成29年度中の計画完了はきわめて難しく、研究期間の延長を申請したい。
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