研究課題/領域番号 |
15K02251
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
中尾 友香梨 佐賀大学, 全学教育機構, 准教授 (10441734)
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研究分担者 |
日高 愛子 志學館大学, 人間関係学部, 講師 (20706741)
白石 良夫 佐賀大学, 地域学歴史文化研究センター, 特命教員 (60137320)
大久保 順子 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (30259791)
土屋 育子 東北大学, 文学研究科, 准教授 (30437800)
沼尻 利通 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (90587635)
亀井 森 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (40509816)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 小城鍋島文庫 / 十帖源氏 / 鍋島直能 |
研究実績の概要 |
まず、本年度も計画どおり小城鍋島文庫蔵書の合同調査を行った。ただ、計画では夏休みと春休みにそれぞれ1回ずつ、2泊3日の日程で合同調査を行う予定であったが、研究代表者の所属機関の予算執行締め切り後(3月)の旅費申請と支払いの手続きが煩瑣であるのを避けるため、今年度は2回の日程を1回にまとめて、9月2日~6日に4泊5日の日程で合同調査を行った。 研究代表者・研究分担者・連携研究者が分野別に分かれ、それぞれ研究協力者やアルバイトの大学院生とチームを組んで、詳細な書誌調査を行った。これまで調査が済んだ書籍は、総記・宗教・外国地理・語学の分野で213点、日本史43点、社会科学(教育・風俗・軍事)の分野で67点、武芸1点、遊芸5点、中世近世小説20点、物語・物語注釈書35点、随筆・日記14点、和歌103点、日本漢詩文70点、漢籍85点である。その成果の一端として、研究代表者と連携研究者が分担執筆で、「小城鍋島文庫蔵書解題稿(二)」を『佐賀大学全学教育機構紀要』第5号(2017年3月)に発表した。また、メンバー全員の分担執筆で、『小城鍋島文庫蔵書解題集(試行版)』を今年5月に作成し、今年度末にはその決定版を刊行する予定である。 なお、基本的に毎月1回、例会を開き、小城鍋島文庫蔵『十帖源氏』本文と書き入れの翻字と輪読を行った。その成果として、前年度に引き続き、「小城鍋島文庫蔵『十帖源氏』翻刻稿(三)―玉鬘巻~真木柱巻」(佐賀大学地域学歴史研究センター『研究紀要』第11号、2017年3月)を発表しており、また「同翻刻稿(四)―梅枝巻~竹河巻」を同誌第12号(2017年5月刊行予定)に投稿済みである。 さらに、例会とは別に、5月と9月にそれぞれ研究発表会を1回ずつ開き、研究発表の場を設けて種々の議論を行い、研究を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者、研究分担者、連携研究者、研究協力者のメンバー全員が協力しあった結果、研究はおおむね順調に進んでいる。小城鍋島文庫蔵古典籍約1100点のうち、656点に対してすでに調査が済んでおり、解題の執筆作業も同時に進んでいる。今年5月には、とりあえず調査が済んで書籍について、『小城鍋島文庫蔵書解題集(試行版)』を作成し、専門家らの意見を乞うた上で、年度末の正式な刊行を目指して修正・補完作業を進めていく予定である。また、小城鍋島文庫蔵『十帖源氏』の翻刻稿も、第三稿まですでに発表しており、第四稿も投稿済みである。今年度末には一連の研究成果をまとめて発表することができる。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の最終年度にあたる本年度は、これまで調査してきたデータや情報を整理・分析し、研究成果をまとめて、随時学界および地域社会に発信していく。 まず、2017年4月28日(金)~5月14日(日)に、佐賀大学地域学歴史研究センターと共同で展示会「地域の文化財群としての小城鍋島文庫蔵書」を佐賀大学美術館で開催し、本研究の成果の一部を公開する。 また、展示会の最終日には、同じく佐賀大学地域学歴史研究センターと共同でシンポジウム「肥前鍋島家の文雅」(参加無料)を開催し、研究代表者・研究分担者・連携研究者らがそれぞれ本研究で得た成果を、学界および地域の人々に広く報告する予定である。 なお、本研究の成果の一部をまとめた『小城鍋島文庫蔵書解題集(試行版)』を作成し、上記のシンポジウム、中古文学会平成29年度春季大会(5月27日~28日、於東京女子大学)、日本近世文学会平成29年度春季大会(6月10日~12日、於東京女子大学)等の会場にて無料配布し、より詳細な研究成果を地域の人および学界の専門家らに読んでもらうことによって、広く教示を仰ぎ、年度末の正式な出版を目指す。 一覧の活動と研究実績については、小城鍋島文庫研究会のホームページにて公開しており、これからも随時発信しつづけていくつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者と研究協力者が、多忙により、必ずしも毎月の研究会例会に全員出席できたわけではないので、旅費に未使用額が生じた。また、合同書誌調査を夏休みと春休みにそれぞれ1回ずつ、2泊3日の日程で行う予定であったが、研究代表者の所属機関の予算執行締め切り後(3月)の旅費申請と支払いの手続きが煩瑣であるのを避けるため、今年度は2回の日程を1回にまとめて、4泊5日の日程で行った。そのため、やはり旅費に未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
(1)研究期間の最終年度にあたる今年度は、研究成果を学界と地域に広く報告・公開するため、展示会とシンポジウムを実施する予定であり、前年度の未使用額の一部は、その準備と開催にあてる。 (2)年度末には、研究成果をまとめて『小城鍋島文庫蔵書の解題と研究』(仮題)および『小城鍋島文庫蔵「十帖源氏」の翻刻』(仮題)を刊行する予定であり、前年度の未使用額の大部分は、その作成と出版にあてる。
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