本研究では日本人と旧満洲亡命ロシア人との関係をより広い視点から考察するために、日本人作家が描いた旧満洲亡命ロシア人の文学的表象を分析し、日本人の対亡命ロシア人観の特徴とその通時的変化(1920年代から今日まで)を考察した。 具体的には日本語文学におけるロシア人女性、日ロの民族間結婚、そして古儀式派教徒とコサックの表象を中心に分析した。その結果、東アジアにおける日ロ(日ソ)の関係性の変化や満洲国の国策が作品テーマに与えた影響を指摘するとともに、個人的体験の相違が作品のトーンに変化を与えることを明らかにした。
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