豊臣秀吉の朝鮮出兵(文禄・慶長の役)に関する記述の伝播の様相について研究成果を得た。具体的には『和漢三才図会』の朝鮮出兵記事が、絶版となった軍書『九州記』に基づくこと、柳河藩主立花宗茂の活躍を描く軍書類の分析から、朝鮮を蔑視する内容が見られないことを考察した。さらに慶長の役に従軍した大河内秀元作写本『朝鮮物語』が、幕末の海防意識の高まりから注目され、出版された経緯を明らかにした。 また秀元と子息秀連の著作『光録物語』『糟粕手鏡』を基に、新たな小早川秀秋像を提示した。水戸藩に客仕した小早川能久の著作『翁物語』の記事を手掛かりに、三浦浄心著『北条五代記』の創作姿勢を考察した。
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