研究課題/領域番号 |
15K02267
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山岸 郁子 日本大学, 経済学部, 教授 (90256785)
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研究分担者 |
十重田 裕一 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40237053)
山本 芳明 学習院大学, 文学部, 教授 (90191460)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 文学館 / 文学展示 / 文芸映画 / 文化資源 / 高度経済成長 |
研究実績の概要 |
地方行政が行ってきた文学事業(文学展示のみならず観光産業とどのように結びついたのか)について計画通り調査を行なった。特に奈良の志賀直哉旧邸の保存運動から行政への働きかけ、登録有形文化財として認定、奈良県指定有形文化財(建築物)の指定を受け奈良学園が管理するまでの資料を調査した。作家の旧邸を文化財として保存・管理するためのモデルケースであるため、他の自治体における文化事業の参考になると思われる。また、兵庫における谷崎潤一郎旧邸跡の文学館についても調査を行った。没後50年にあたり、昨年度から谷崎潤一郎全集が発刊され、新資料の発見も続いており、文学館展示を縁の場所でどのように展開するのかについて研究会を開催し、検討した。 また、パラレルに日本映画の黄金期であった1950代に文芸映画(文学作品原作の映画)がどれほど製作され、それが映画産業にどれだけ貢献してきたのか、また映画化される際に原作として選ばれる地方(京都・奈良・兵庫)舞台の文学作品についてその傾向を調査し、分析した。さらに撮影所や劇場、興行元についての調査を行い資料を収集した。 また各自が分担した研究対象に関して、産業と地域社会との関係性について調査研究は順調に行われており、継続してそれぞれの研究成果について異なる研究視角や方法論から批判的に検討することで、当該分野における研究の刷新を図るつもりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高度経済成長期の中で文化資本としての文学とその作り手である作家がどのように意識され、貢献したのか、メディアの中心地である東京を軸として、文学・文学者・メディアを調査する一方で諸地域(作家の出身地・作品の舞台)との関係について重点的に資料を収集し、調査を行った。特に調査地を関西(京都・奈良・兵庫)から静岡までに絞ったことから、志賀直哉・谷崎潤一郎・川端康成といった高度成長期に文化人となった作家について、以下が横断的に明らかになった。 作家の出張(講演・調査など)によって、地域と結びつく場合(出版社主催の講演会など)、戦前から地域と結びついている場合、作品の劇化、映画化、テレビドラマ化などによって、新規に関係が確立して、顕彰されるまでに至る場合、文学賞、文学碑、文学祭などによって、イベント的に関係が構築された場合、 文学館など観光資源を見込み、地方自治体が投資する場合、作家の住居があった、あるいは避暑などの旅行で滞在していた場合。
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今後の研究の推進方策 |
それぞれの地域行政が行ってきた文学事業(文学展示のみならず観光産業とどのように結びついたのか)について継続して調査する。特に金沢の複数の文学館・岐阜、長野の島崎藤村文学館、山形の斎藤茂吉記念館、滋賀の舟橋聖一資料を重点的に調査する。さらに前年度の地域調査を経て、日本映画の黄金期であった1950代に文芸映画がどれほど製作され、それが映画産業にどれだけ貢献してきたのか、また映画化される際に原作として選ばれる文学作品についてその傾向を調査し、その地域性を分析する。撮影所や劇場、興行元についての調査も行う。さらには演劇やテレビドラマになるとそれがどうなるのか、「花の生涯」(舟橋聖一)周辺の言説について調査を行い映画との比較・分析を行うつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
資料の収集を中心に行い、謝金や人件費を伴うデータベースの入力については次年度としたため。
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次年度使用額の使用計画 |
資料作成とデータ入力や処理に関わる研究補助が必要になる。最終的な目標は1950-70年代の文学隆盛期の実態を確認し整理することに加えて、そこから現在の文学の問題点をあぶり出し、現在や将来の文学のあり方に資することを目的としている。そのための基礎資料作成と調査研究や研究会開催に人的な面や費用の面で十分に配慮して進めていくように計画している。研究活動を通して得られた新情報については文学館等関係機関に迅速に通知し情報を共有する。本研究で蓄積したデータについては調査対象の文学館に提供するものとしたい。
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