2017年度は関連資料の調査をしながら、以下の三つに重点をおいて研究活動を行った。①他の地域や言語圏の研究者との共同研究を継続させた。UCLAで開かれた“Trans-Pacific Symposium”で発表した。出版研究グループ(ワシントン大学E・Mack、成均館大学の千政煥、大妻女子大学の五味淵典嗣)は、朝鮮戦争とベトナム戦争の難民の拠点であった韓国釜山で現地調査と地域の専門家との懇談会を開いた。韓国延世大学の金杭(資金:韓国細橋研究所)、成均館大学の千政煥(資金:CORE事業団)らと「日韓人文学フォーファム」を立ち上げ、東アジアにおける「批判言説」のパラダイム転換について議論した。同研究資金による国際会議「嫌悪と民主主義」を開催した。国立台湾政治大学日本学研究所と日大との共同研究企画に参加した。②複数言語による領域横断的な成果の公表を試みた。韓国聖公会大学研究チームによる共同研究の成果『二度目の「戦後」1960~1970年代アジアに遭遇した日本』(ハンウルアカデミー)を刊行。また、韓国京郷新聞社と共同でポスト冷戦時代の問題について考える連続企画に参加した。その成果は『週刊京郷』で発表した。③6070研究会を計3回開催し、研究成果の還元を行った。ワークショップ「太平洋を超える歴史修正主義」:報告は平野克弥(UCLA)、コメントは山口智美(モンタナ州立大学)。国際シンポジウム「再び戦後を問う」:報告は高榮蘭・波平恒男(琉球大学)・米谷匡史(東京外大)、コメントは権赫泰・趙慶喜(聖公会大学)、中野敏男(東京外国語大学)、司会は鄭栄桓(明治学院大)。 合評会、村上克尚「『動物の声、他者の声: 日本戦後文学の倫理』:報告は結城正美(金沢大学)・立尾真士(亜細亜大学)・ 郷原佳以(東京大学)、応答は村上克尚(日本学術振興会特別研究員)、司会は紅野 謙介(日本大学)。
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