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2017 年度 実績報告書

1920-30年代の「認識論」と「経済学」による文学の「価値化」に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K02269
研究機関日本大学

研究代表者

位田 将司  日本大学, 経済学部, 准教授 (80581800)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード新カント派 / 価値哲学 / ハインリヒ・リッケルト / 改造社 / 円本 / マルクス経済学 / イマヌエル・カント / 日本近代文学
研究実績の概要

本研究によって、改造社の発行していた雑誌『改造』に、新カント派の哲学者である、ハインリヒ・リッケルトの影響があることを実証することができた。『改造』にはその創刊号から、「文化主義」や「価値哲学」といった新カント派の「価値哲学」の影響を受けた論文が複数掲載されており、その論文を分析すると、当時、新カント派の哲学に影響を受けた思想家からの引用や言及がなされていることが判明した。
そして、『改造』には、リッケルト本人の論文も掲載され、また改造社は「文化哲学叢書」という、新カント派を中心としたシリーズを出版し、そのシリーズから、リッケルトに関する研究書も出版されている。改造社はリッケルトとの独占的な翻訳契約も結んでおり、雑誌『改造』にとって、新カント派のリッケルトの存在は大きなものであった。
このようなリッケルトの「価値哲学」に対して、改造社が注目していたというのは、重要な問題を提起する。それは、改造社が「円本」という「一円=一冊」の文学全集を発行しているということに関連している。「一冊=一円」・「一作家=一円」という商品のパッケージ化は、まさにこの「価値哲学」の発想と重なるものなのである。リッケルトの「価値哲学」は多様な文化形態の中に、普遍的な価値体系を見出す理論であった。つまり、改造社が行ったことは、多様な文学テクストや作家を、「一円」という価値体系によって商品化するという、「価値哲学」の発想と相同的な思想なのだ。
ゆえに、改造社とリッケルトの思想的関係を調査し分析することで、この時代における文学の商品化の問題に、理論的な解明を与えることができた。これらの研究成果は、論文「文学の主観性―「秩序」は防衛しなければならない―」(『G-W-G』2017・5)及び、論文「横光利一「家族会議」における「資本」という「災厄」」(『国文学研究』2018・6(掲載予定))として公開される。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 横光利一「家族会議」における「資本」という「災厄」2018

    • 著者名/発表者名
      位田 将司
    • 雑誌名

      国文学研究

      巻: 185 ページ: 印刷中

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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