本研究は、近代文学の分野において、編集文献学という新たな研究分野の構築と確立をめざしたものである。 具体的には、明治期以降の個人全集の歴史的経緯、および編集の文法を明らかにすることを主たる目的として、文献の整備と資料の収集に努め、特に近代文学の開拓者である坪内逍遥の著書の収集に力を注いだ。それらを通して、いまだ定本全集がない坪内逍遥の全集編纂の可能性を検討し、その著書を全集として編集する過程を実践することで、近代文学の活字の本文成立の問題や、近代作家のテキスト・著書の多様な成り立ちを実践的に明らかにすることができたと考えている。
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