研究課題/領域番号 |
15K02274
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
十重田 裕一 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40237053)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 日本文学 / 検閲 / 内務省 / GHQ / メディア / 出版 |
研究実績の概要 |
予定していた研究は順調に進んでおり、2017年度に「検閲と文学」に関する国際ワークショップを開催することで、当初の研究目的を達成できると考えている。今年度は、論文や国際シンポジウムでの発表などを行っていて研究の進捗状況は順調であり、前倒しで研究成果を公表することができたものもある。2016年度研究実績の主なものは、以下の4つである。(1)十重田裕一「引き裂かれた「旅愁」の軌跡」『旅愁 上』岩波書店、2016年、pp.561-579、(2)十重田裕一「占領期メディア検閲と横光利一『旅愁』―プランゲ文庫所蔵の校正刷からの視点」『文学』第17巻6号、岩波書店、2016年、pp.276-290、(3)十重田裕一「占領期日本の検閲と川端康成の創作―「過去」「生命の樹」「舞姫」を中心に」『川端康成スタディーズ 21世紀に読み継ぐために』笠間書院、2016 年、pp.193-203、(4)十重田裕一「回顧三〇年の時代」『岩波茂雄文集 第三巻』岩波書店、2017年、pp.319-334。 文学者については横光利一と川端康成を対象とし、両作家の小説と検閲との関連の分析を行った。出版人についいては、岩波書店の創業者の岩波茂雄に光を当てた。なお、(1)については、岩波文庫版『旅愁 上・下』(2016年)の本文の校訂・注釈を行うことで、検閲との関連が明確となる小説本文の提供を行った。(4)については、『岩波茂雄文集 全三巻』の編者の一人として、三巻の企画・編集に携わり、近代日本における重要な出版人と検閲との格闘の軌跡を検討しうる環境を提供した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度までに順調に成果をあげ、当初想定していたよりも早く、研究成果の『岩波茂雄文集 全三巻』(岩波書店、2017年)を刊行することができた。この三冊の研究成果に編者としてかかわるとともに、第三巻では解説も執筆しており、当該研究の成果の主軸をなすものである。『毎日新聞』での書評で大きく取りあげられるなど、一定の評価を得たように見える。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度はこれまでの成果を踏まえながら、岩波書店ならびにメリーランド大学図書館のゴードンW.プランゲ文庫の調査を継続しながら、更なる研究を展開していく。岩波書店の出版物を対象に、帝国日本で行われていた内務省の検閲と占領期日本で実施されたGHQ/SCAP(General Headquarters/Supreme Commander for the Allied Powers、連合国軍最高司令官総司令部)の2つの検閲に関する新資料を収集・整理し、新たな研究の基盤を形成していくことを目指す。 すでに計画している研究成果の発表には、以下の二つがある。一つ目は、2017年6月18日に立教大学で開催される国際日本文化研究センターの共同研究「戦後日本文化再考」(代表:坪井秀人)である。ここでの報告では、メリーランド大学図書館のゴードンW.プランゲ文庫と岩波書店での調査などを通じて得た資料の分析の一部を報告し、参加者と議論する予定である。二つ目は、2018年1月に開催を計画している、帝国日本の内務省検閲と占領期GHQ/SCAP検閲との連続性と非連続性を検討する国際ワークショップである。以上の二つの計画を軸に研究を進めながら、それぞれ論文を発表していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算を次年度に繰り越した理由は、大きく2つある。1つ目は、最終年度に国際的な研究基盤を形成するための国際ワークショップを計画しており、そこで3年間の研究の総括をしたいと考え、1~2年の予算を圧縮した。2つ目は、海外で研究成果の発表をするために必要と考えたからである。2017年9月にカナダのブリティッシュ・コロンビア大学で当該研究の成果に基づく講演をするなどの予定がある。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の理由に示したように、国際的な研究基盤を形成するための国際ワークショップと、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学などで研究成果の発表をするために使用する計画がある。
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