〇近衛前久・信尹・信尋・尚嗣の自筆の詠草・書状・伝受切紙ほか関連資料の閲覧・調査のため、陽明文庫に出張した。(4/16、5/30、7/2、8/8、9/13、9/29の計6回)○神宮文庫・島原松平文庫・宮内庁書陵部に近衛信尹・信尋関連の近世和歌関連資料の閲覧・調査に出張した。(4/27、8/29・30、2/9-11)○京都大学文学部古文書室に室町末期~江戸中期の中院文書の文学関係資料の閲覧・調査に出張した。 〇上記閲覧・収集を行った資料の解読・分析を行い、調査記録・翻字をもとにデータ入力を行った。 ○これまで一応の入力を終えた約3000点の資料について、エクセルデータ化を行い、その作者・筆者が特定できるものはその情報も加え、歌書・詠草・聞書・覚書・書状等の資料の分野の項目を加え、人別・分野別の並べ替え・検索も可能な形にした。 ○各資料の内容についての記述、または翻字について、原本または複写資料ほかと突き合わせ確認する作業を継続して行っている。 ○京都大学文学部蔵中院文書は、同大学附属図書館の中院文庫に比して、これまで文学研究に利用されることはほとんどなかった。そこで、中院文書の文学関係資料の全てを閲覧調査し、近世中期に至るまでの資料計315点を翻字し紹介を行った(「京都大学文学部蔵中院文書文学関係資料翻刻」(上・中・下)大山和哉との共著)。例えば古今集講釈の聞書や古今伝受切紙など近衛家・中院家双方の資料が密接な関わりを持つことが明らかになった。摂家である近衛家と、大臣家であり、歌道の家ともなった中院家の資料を併せ見ることで、両家の和歌・歌学との向き合い方の違いと共通点を知ることができ、当代宮廷文壇の実相をより多層的に把握することが可能となった。
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