春山行夫に代表される昭和期のモダニズムは、海外の芸術思想を引用して、独自の詩論を創り出す。それらの引用には、意図的なものと無意識のものがある。意図的には、ロシア未来派やフランスの純粋詩など、海外の新しい思潮が引用された。無意識には、同時期のマルクス主義と、同時代の歴史認識という文脈で接点を持った。モダニズムとマルクス主義は、表面的に対立したが、同時代文脈で共通する面があった。また、日本のモダニズムは、大衆文化と接点を持った。モダニズムと思想を共有する商業美術が、大衆と芸術を結ぶ理論を構築した。商業美術は、マルクス主義芸術と接点を持つ。本研究は、モダニズムに関わる複合的な引用関係を調査した。
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