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2017 年度 実施状況報告書

火野葦平の戦中・戦後研究―1930~50年代の自筆資料を基礎として―

研究課題

研究課題/領域番号 15K02279
研究機関関西大学

研究代表者

増田 周子  関西大学, 文学部, 教授 (30294664)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード河童 / インパール作戦 / 火野葦平 / フォークロア / 海御前伝説 / 『従軍手帖』
研究実績の概要

2017年度は①インパール作戦と火野葦平、②河童伝説と火野葦平文学について研究をすすめた。以下、今年度の研究状況について具体的に記す。
①インパール作戦と火野葦平に関しては、2017年9月にルーマニア・ブカレストで開催された国際シンポジウムで、火野のインパール作戦『従軍手帖』の詳細と、作品『青春と泥濘』について基調講演を行った。その後討議をし、活発な意見交換をすることができた。この国際シンポジウムでは、ローマ大学在職の、戦争文学研究者とお会いすることができ、交流を深め、知見が広がった。大変よい機会を得たと考えられる。また、『火野葦平インパール作戦従軍記』(2017年、集英社)の「解説」「解題」「年譜」を担当し、火野のインパール作戦についての全貌を知ることができた。そのうえで、関西大学東西学術研究所で開催された研究例会で、インパール作戦時に、動員された現地の原住民を描いた「異民族」という作品と、火野のインパール作戦『従軍手帖』との関連や、作品のテーマに関する研究発表をおこなった。
②河童伝説と火野葦平文学については、主に、北九州市門司区に言い伝えられた河童伝説である海御前伝説と火野文学との関係について研究をすすめた。平家方が壇ノ浦で入水自殺をはかった後、実在する平教経の妻は、北九州市門司区大積海岸に流れ着き、河童となって大積天疫神社に祀られ、海御前と呼ばれた。これが、海御前伝説である。火野はこの伝説をもとに、河童小説「白い旗」、「海御前」などを描いている。2017年度はこの二作について、詳細に研究を行った。大積天疫神社、大積海岸などを訪れ、海御前の碑を探索しフィールドワークをすることができた。
以上、火野葦平の文学について、多様な観点で研究を推進でき充実していた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

『火野葦平インパール作戦従軍記』(2017年、集英社)の刊行に尽力することができ、火野葦平文学の国際的発展に貢献できた。さらには、火野文学の論文執筆、講演、研究発表を行い、討議もすすみ、研究を推進することができたため。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方法としては、火野葦平の自筆資料が多く保管されている、北九州市立文学館、ならびに、火野葦平資料館、河伯洞と連携をとりながら、火野の自筆資料についての研究をすすめ、火野文学の研究を遂行する。

次年度使用額が生じた理由

2017年度に参加したルーマニアでの国際シンポジウムの旅費は、科研費と別の団体からの助成金を受けたため、次年度使用額が生じた。なお、2018年8月にモンゴルで実施される国際シンポジウムの参加旅費として使用する計画である。さらに、北九州市文学館、国立国会図書館などに出張し、火野葦平の戦争文学や、河童資料を集めるための出張旅費に使用する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 火野葦平「海御前」論 ―北九州市門司区大積天疫神 社の海御前伝説をふまえて―2018

    • 著者名/発表者名
      増田周子
    • 雑誌名

      関西大学文学論集

      巻: 第67巻4号 ページ: 47~77

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 火野葦平「白い旗」論―平家一族女河童の矜持と悲哀―2018

    • 著者名/発表者名
      増田周子
    • 雑誌名

      関西大学『国文学』

      巻: 102号 ページ: 303~313

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Study about Hino Ashihei’s “Stone and Nail” and “Ghost” in Comparison with Mizuki Shigeru’s Comic “Urine” Based on Legends from the Region2017

    • 著者名/発表者名
      増田 周子
    • 雑誌名

      ANNALS OF “DIMITRIE CANTEMIR” CHRISTIAN UNIVERSITY LINGUISTICS, LITERATURE AND METHODOLOGY OF TEACHING

      巻: VOLUME XVII No.1 ページ: 33~42

    • 査読あり
  • [学会発表] 火野葦平のインパール従軍記―インパール作戦『従軍手帖』の詳細とインパール戦の真実-2017

    • 著者名/発表者名
      増田周子
    • 学会等名
      第9回 東アジア文化交渉学会
    • 国際学会
  • [学会発表] 火野葦平「異民族」研究 ―― インパール作戦『従軍手帖』「創作ノート」考察 ――2017

    • 著者名/発表者名
      増田周子
    • 学会等名
      関西大学東西学術研究所
  • [学会発表] 火野葦平の河童文学2017

    • 著者名/発表者名
      増田周子
    • 学会等名
      北九州市指定文化財「河伯洞」
    • 招待講演
  • [学会発表] The Battle of Imphal and Hino Ashihei’s Literature」(基調講演)2017

    • 著者名/発表者名
      増田周子
    • 学会等名
      Dimitrie Cantemir" Christian University, Bucharest, Romania
  • [図書] 『火野葦平インパール作戦従軍記』2017

    • 著者名/発表者名
      増田周子
    • 総ページ数
      589
    • 出版者
      集英社
    • ISBN
      4087816303

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公開日: 2018-12-17  

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