本研究では、仮名草子の挿絵に当時の世相がいかに反映されているか解明することを目的とし、『大坂物語』『嶋原記』『北条五代記』の挿絵を分析してきた。分析の結果、挿絵は刊行時期によって異なり、江戸と上方の読者の嗜好を反映していることが判明した。 すでに本研究の成果は、「簡約版『大坂物語』の本文と挿絵」「明暦四年松会版『大坂物語』について」「服部版『天草物語』系統の挿絵の変遷―萬屋版『嶋原記』と岩瀬本『嶋原記』をめぐって」「国会本『絵本北条五代記』の挿絵―本文と挿絵から見える成立過程」として公刊している。さらにこれまでの挿絵研究の成果を取り纏め、著書刊行の準備を行った。2019年秋に刊行予定である。
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