研究課題/領域番号 |
15K02281
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研究機関 | 神戸海星女子学院大学 |
研究代表者 |
箕野 聡子 神戸海星女子学院大学, 現代人間学部, 教授 (20411861)
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研究分担者 |
山本 欣司 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (00344581)
大橋 毅彦 関西学院大学, 文学部, 教授 (60223921)
大東 和重 関西学院大学, 法学部, 教授 (60434859)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 近代文学 / 日本文学 / 神戸 / 文化 / モダニズム / 港湾都市 / 関東大震災 / 阪神 |
研究実績の概要 |
従来、海港都市神戸の文化についての考察は、主にモダニズムという視点から進められてきた。本研究会は、モダニズムの概念規定について配慮しつつも、一般市民の生活や芸術活動などの存在も踏まえた、より多層的な港湾都市文化の多様性を究明することを目的とし、研究活動を進めている。 平成28年度においては、5月1日に、ゲストスピーカーを交えたシンポジウム「季村敏夫の仕事を囲む会―『山上の蜘蛛』『窓の微風』を読む」を企画し、こうべまちづくり会館で開催した。季村敏夫氏は、神戸の詩史をこれまで見過ごされていた詩人達の作品から見直そうとする新しい視点を持っている点で、本研究テーマと密接なつながりもった詩人である。研究会メンバー以外にも一般の参加者を迎えての会とし、多数の日本近代文学研究者や神戸の詩人も加わり、有益な情報交換が行われた。 10月29日には、本研究会が日本近代文学会関西支部春季大会で発表を行った。これは日本近代文学会関西支部の連続企画「≪異≫なる関西――1920・30年代を中心として――」の第3回目にあたるもので、「光源としての『大阪朝日新聞神戸附録』――神戸モダニズムを問い直す――」と題し、「労働」「映画」「建築」「美術」の4分野からアプローチを行った。 学会・研究集会活動以外では、4月には、神戸文学館土曜サロンにおいて、メンバーが一般の参加者を案内する「文学散歩」を、昨年度に続き実施した。これは、関西学院発祥の地である神戸市灘区周辺に点在する近現代文学の作品舞台を解説しながら、実際に歩き訪れる企画である。2月には神戸文学館企画展「坂道の情景―神戸を描いた文学」の記念講演をメンバーが担当し、「坂の途中―神戸の風景と文学―」と題し、文学作品に登場する神戸を通して、港湾都市文化の多様性についての講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を進める際の基礎資料となる『大阪朝日新聞神戸附録』『大阪朝日新聞神戸版』の1920年から1929年までの誌面のマイクロフィルム複写を、PDF資料に変換する作業を完成させることができた。この資料から、記事の抽出とデータベース化を各自が担当する分野(「文学」「美術」「映画」「古典芸能」「演劇」「労働運動」「文化」「建築」)で進めた。 メンバー全員が参集しての研究会・情報交換会は4月・5月・7月・8月(2回)・10月に行い、研究発表・討議を通して、主にシンポジウムや学会発表への準備を進めた。 ゲストスピーカーを交えたシンポジウムを神戸で開催し、神戸詩人や他の研究会研究者との学術的交流も行い、また、一般参加者も迎えて有益な情報交換を行えた。 これまでの研究成果を、日本近代文学会関西支部の連続企画「《異》なる関西――1920・30年代を中心として――」の第3回目のシンポジウムで発表した。「光源としての『大阪朝日新聞神戸附録』――神戸モダニズムを問い直す――」と題し、メンバー4名が「労働」「映画」「建築」「美術」の4分野からの発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
PDF資料として完成した1920年代の『大阪朝日新聞神戸付録』『大阪朝日新聞神戸版』の記事の抽出とデータベース化を進める。データベース化によって分類されたジャンルのうち「文学」「美術」「映画」「古典芸能」「演劇」「労働運動」「文化」「建築」についてはメンバーが分担し、さらに詳しく内容の精査を行う。 他の研究会・学会との連携を図り、さらなる研究の多層性を求めるため、日本近代文学会関西支部2017年度春季大会の連続企画「《異》なる関西――1920・30年代を中心として――」(2017年6月3日予定)の第4回「視差から立ち上がるもの」でメンバーが研究成果の発表を行う。 研究成果の文書化については、まず、日本近代文学会関西支部の連続企画第1回(2015年)、第3回(2016年)、第4回(2017年)でメンバーが発表してきたこれまでの研究を各々がまとめて、日本近代文学会関西支部の出版企画『《異》なる関西』に投稿する。さらに、メンバーが各方面の学会誌、紀要、雑誌等に順次研究成果発表をしていく。また、研究成果を一般にも公表するため、神戸文学館をはじめとし、公民館、生涯学習講座での講演を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
『大阪朝日新聞神戸附録』『大阪朝日新聞神戸版』の1920年~1929年の記事抽出とデータベース化のために、パソコンの使用環境を整える必要がある。マイクロフィルム複写のコピー原紙を整理保存するための人件費が必要となる。神戸市立中央図書館所蔵のマイクロフィルムの欠損部分を補うため、他図書館所蔵のマイクロフィルムの複写を必要とし、その作業費ための複写代・人件費・交通費が必要となる。 定例の研究会のための費用が必要となる。学会発表のための資料作成費と研究書籍購入費が必要となる。日本近代文学関西支部出版企画『《異》なる関西』に投稿するための資料収集費用が必要となる。 神戸の同人誌発掘のため、書籍費用が必要となる。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費は、書籍購入費、資料収集費、パソコンとその周辺機器購入費として使用する。旅費は、研究会開催時の交通費として使用する。人件費・謝礼は、マイクロフィルム複写と資料整理のための人件費として使用する。その他は、複写費と会議費として使用する。
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