研究実績の概要 |
本研究の目的は歴史と小説に関するアダプテーションの研究であり、28年度の研究実施計画には歴史小説の理解を深化させることが含まれていた。これにしたがって、ディケンズの『二都物語』についての詳細なテクスト分析を含む論考を発表し、ヒラリー・マンテルの『ウルフ・ホール』とゴア・ヴィダルの『リンカーン』についての私見を延長・改良した講演を行った。また、ディケンズの『大いなる遺産』についての研究論文を作成し、これはこの分野の代表的な国際誌Dickens Studies Annualに採用が決まった。 備品で購入した映像資料を活用し、文学作品、特に歴史小説の映画へのアダプテーションの広範な実例に接することができた。また、最近の長尺テレビ・ドラマを吟味することで今後の研究の可能性を拡大する貴重なヒントを得た。 文献調査の点では、特にRobert A. Rosenstoneの一連の著作、すなわち Revisioning History (1995),Visions of the Past (1995), History on Film/Film on History (2006)などの研究書には啓発されるところが大であり、多くの示唆を得た。
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