研究課題/領域番号 |
15K02300
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
霜鳥 慶邦 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (10400582)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 第一次世界大戦 / 記憶 / ツーリズム / イギリス文学 / ベルギー / カナダ / カナダ先住民 |
研究実績の概要 |
本年度は、研究の射程をイギリス、ベルギー、カナダに広げ、具体的には以下のような研究成果を上げた。まず、2014年に口頭発表した、大戦100周年と戦争詩人の関係についての研究を、2015年5月発刊の『ポストコロニアル・フォーメーションズX』において論文にまとめた。6月13日、カルチュラル・タイフーンにおいて、カナダにおける大戦の記憶と先住民の関係について口頭発表した。ベルギーの地方都市イーペルで毎晩実施されている戦没者追悼儀式についての論考をまとめ、6月発行の『年報カルチュラルスタディーズ』Vol.3(特集:戦争)に寄稿した。9月に、カナダにおける大戦の記憶(特に先住民との関係)についての現地調査を実施した。これによって得た一次資料や写真データを活用しながら、カナダの作家Joseph Boydenの文学を中心に、大戦の記憶と先住民の関係についての論文を執筆した。これは、2016年中に投稿予定である。また、同じくJoseph Boydenの文学に注目しながら、カナダ先住民をめぐる政治と文学の今日的状況についての論文を執筆した。これは、2016年5月発行予定の『ポストコロニアル・フォーメーションズXI』に掲載される。 全体的に、本研究の重要課題の1つである大戦研究のグローバル化のための理論基盤の構築を順調に進めることができ、さらにイギリス、ベルギー、カナダといった複数の国の今日的状況についての研究をまとめることができ、次年度以降、研究をさらに拡大・展開することが可能になった。その意味で、意義ある研究成果であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の重要課題の1つである大戦研究のグローバル化のための理論基盤の構築を順調に進めることができた。また、イギリス、ベルギー、カナダといった複数の国の今日的状況についての研究をまとめることができ、次年度以降、研究をさらに拡大・展開することが可能になった。さらに、大戦100周年に関連する時事情報や文学作品の収集・整理・考察も順調に進んでいる。以上の理由から、研究はおおむね順調に進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度の成果を踏まえ、研究の射程を、地理的・時間的にさらに拡大させる。地理的には、イギリスとヨーロッパ諸国を中心としつつ、カナダ、オーストラリア、インドなどが重要な対象となる予定である。時間的には、第二次大戦や近年のテロをも含めて、大きな歴史的射程の中で大戦100周年の今日的意義を明らかにすることが重要となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入の差額として若干の次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
物品購入費として活用する予定である。
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