研究課題/領域番号 |
15K02300
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
霜鳥 慶邦 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (10400582)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 第一次世界大戦 / 記憶 / カナダ / カナダ先住民 / イギリス / オーストラリア / アイルランド |
研究実績の概要 |
本年度は、研究の射程を、地理的には、イギリス、カナダ、オーストラリア、アイルランドに設定し、時間的には、2つの大戦を中心として20世紀全体に設定し、具体的には次に示す活動を遂行した。①カナダ先住民の「傷」をめぐる政治と文学についての論文(具体的には、Joseph Boydenの文学、寄宿学校制度、カナダ真実和解委員会の活動、2015年カナダ総選挙の関係についての考察)を、『ポストコロニアル・フォーメーションズXI』(2016年5月発刊)に発表した。②9月に、ポーランドにて、第二次大戦の記憶(特にホロコースト)に関する現地調査を実施した。③カナダ先住民と第一次大戦の記憶についての論文(具体的には、Joseph Boyden文学と21世紀カナダにおける大戦の記憶の関係についての考察)を、『Studies in English Literature 58』(2017年3月発刊)に発表した。④21世紀イギリス文学における第一次・第二次大戦の記憶についての論文(具体的には、Sebastian Faulks文学と20世紀の記憶の関係についての考察)を完成させ、学会誌に投稿した。⑤21世紀オーストラリア文学と第一次大戦の記憶の研究の基盤作りを行った。⑥21世紀アイルランドと第一次大戦の記憶の研究の基盤作りを行った。 交付申請書に記載した内容よりも、地理的・時代的に研究の射程が拡大する結果となった。これは、研究の過程での様々な発見による必然的結果であり、本研究の重要テーマである「グローバル性」を、当初の研究計画以上に具体的に提示することができた。その意味で、意義ある研究成果であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の研究計画内容とは若干のずれが生じたが、それは研究の過程での様々な発見に基づく発展の結果であり、当初の想定よりもはるかにグローバルで有意義な展開となっている。また、研究成果を順調に発表し、同時に、次年度以降の研究のための準備を着実に進めることができた。以上の理由から、研究はおおむね順調に進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度の成果を踏まえ、21世紀アイルランド文学と21世紀オーストラリア文学を中心テーマとして設定し、第一次大戦100周年における大戦の記憶の研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
差額として、若干の次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
物品購入費として活用する予定である。
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