研究課題/領域番号 |
15K02300
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
霜鳥 慶邦 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (10400582)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 第一次世界大戦 / 記憶 / アイルランド文学 / イギリス文学 / 第二次世界大戦 / 20世紀 / オーストラリア文学 / 21世紀 |
研究実績の概要 |
本年度は、研究の射程を、地理的には、イギリス、アイルランド、オーストラリアに設定し、時間的には、2つの大戦を中心に20世紀全体に設定し、以下の活動を遂行した。 ① Richard FlanaganのThe Narrow Road to the Deep Northや、現代諸英語文学のグローバル性などを広く論じた論文を、『英語教育徹底リフレッシュ─グローバル化と21世紀型の教育』に発表した。② Wilfred Owenの詩的言語の今日的アクチュアリティについての論文を『交錯するレトリック─精神と身体、メタファーと認知』に発表した。③ 8-9月に、アイルランドにて、第一次世界大戦の記憶に関する現地調査を実施した。④ アイルランドにおける第一次世界大戦の記憶について、Sebastian BarryのA Long Long Wayを中心に分析し、日本英文学会関西支部第12回大会にて口頭発表した。また、発表内容を論文にまとめ、次年度、学会誌に投稿する予定である。⑤ Sebastian FaulksのWhere My Heart Used to Beatにおける20世紀の記憶の美学について考察し、『言語文化研究44』に論文を発表した。⑥オーストラリア文学と第一次世界大戦の記憶に関する研究の基盤作りを行った。 上記のテーマに取り組むなかで、中国人、アルジェリア人、インド人といった、大戦の記憶における周縁的存在にも光を当てることに成功し、本研究の重要テーマである大戦の「グローバル性」について、当初の予想以上に多角的に研究成果を提示することができた。その意味で、意義ある内容であると考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
21世紀アイルランド文学と第一次世界大戦の記憶の関係について、現地調査も含めて充実した研究を遂行できた。また、それと同時進行で、21世紀オーストラリア文学と第一次世界大戦の記憶の関係について、順調に研究の基盤作りを進めることができた。以上の理由から、研究はおおむね順調に進んでいると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
2017年度に基盤を固めた21世紀オーストラリア文学と第一次世界大戦の記憶について取り組む。特に、Thomas KeneallyのThe Daughters of Marsの分析を中心に進める。また、イギリス、フランス、ベルギーにて現地調査を行い、大戦100周年最終年に関する最新情報を収集する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 差額として、若干の次年度使用額が生じた。 (使用計画) 物品購入費として活用する予定である。
|